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(2) 将来整備計画

プノンペン空港の改修整備が進められており、今後、若干ながらも航空交通量が増加していくことから、必要最低限の近代的な航空管制の実施能力を確保するための施設及び要員の整備を統一的に計画していくことが必要である。特に、ACC機能を整備して航空路管制を自国で適切に実施したいとの意向がある。

当面は、外国との技術協力を利用して海外の訓練機関へ定期的に職員を派遣して、航空保安業務の技術、運用の各部門の中心となる要員を養成することが有効である。

 

4.2.6 我が国ODAによる援助の可能性

(1) 援助の可能性

今後、カンボジア政府として観光に力を入れており、航空の整備、航空安全の向上は不可欠である。そのため、カンボジア航空局(SSCA)が航空行政当局として、適切に機能するよう政策的に支援することが第一に考えられる。次に、空港及び航空路施設、航空管制施設の整備に対して、安全性の向上、航空交通の活性化のため、日本からの開発援助が期待される。人材育成に関しては、これら施設の開発に合わせて適切に実施されるものであり、歩調を合わせた援助が重要である。ただし、人材育成の規模的な需要は少ないと考えられ、周辺国と航空管制実施能力の平準化を図るため、必要な数の高度な専門性を持った人材を養成するよう施設の整備よりはむしろ技術移転を重視した援助が重要である。

人材育成の方法としては、人材育成プログラム(海外の先進CATCでの訓練)に派遣、または海外から指導者・専門家を呼んで現地で指導するなどの方法が考えられ、我が国としては、派遣プログラムの提供、専門家等の派遣による支援が妥当である。

また、プノンペンFIRの管轄、航空保安業務の提供内容など航空路管制機能(またはACC)の取り扱いを整理する必要がある。タイとの協定または業務委任を含めて、カンボジアとして最適な体制・方法を確立するための支援に取り組むことが重要である。

ただし、我が国の援助スキームに対するカンボジア政府側の対応(制度、社会ルール、職務権限の確立等)が適正に行われることが必要である。

 

(2) 援助の方法

いずれの援助内容も、後発開発途上国(LDC)の一つであるカンボジアに対しては、無償資金協力及び技術協力が中心になると考えられる。航空行政及び航空保安業務に関する法体系及び制度の確立がまず必要であり、今後の国家的な民間航空改善計画策定のための支援と合わせ、第一に航空行政専門家(航空全体のアドバイザー)を派遣するのが妥当である。次に、実践的な技術専門家として、航空管制の指導を行う専門家(航空管制・次世代航空管制のアドバイス)の派遣、また、関連機器の維持技術等の指導を行う専門家等の派遣が有効である。

次に、航空分野全体に係わる整備マスタープラン(空港運営を含む)の策定、並びに人材育成計画作成のための開発調査の実施が有効である。人材育成に関しては、その後、これらの基本プランに従って、無償資金協力による機材供与及びプロジェクト方式技術協力による機能整備、並びに実務的指導を行う専門家派遣、若しくは海外への訓練派遣支援などが期待される。

 

 

 

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