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(2) 援助の方法

ベトナムでは、基幹空港の整備が進められており、今後は、地方空港の整備、航空路施設の整備が展開されていくと考えられ、これらに付随して訓練施設の整備を図ることが有効である。具体的には、航空保安業務のマスタープランを、人材育成計画を含めて作成することが考えられる。専門家の派遣、セミナーの開催等を通して、航空交通分野における人材育成を総合的に管理する体制作りを進めることが重要である。

新たに航空訓練センターを建設する計画があるが、これに対する支援も考えられる。当該訓練センターの機能を踏まえ、当該施設に周辺国からの訓練生を受け入れられるよう我が国の援助スキームに合致する範囲で、円借款による施設建設費の貸与、無償資金協力により訓練機材供与、プロジェクト方式技術協力等を実施する。また、当該施設に付帯して、周辺国からの訓練生のための宿泊所等関係施設の整備に対して無償援助を行うなども考えられる。

ベトナムが管轄する空域の交通量が増え、航空管制実施能力のレベルアップ及び新CNS/ATMシステムヘの対応が求められていることから、高度な専門性を身につけられるよう、航空交通管理専門家の派遣、我が国への研修生の受け入れ、我が国からの資金援助による在外研修機関での訓練支援も有意義である。

 

4.2 カンボジア王国

4.2.1 民間航空訓練施設の種類

現在、カンボジアには航空訓練施設として独立したものはない。プノンペン空港航空管制センターに訓練用施設があるだけで、航空保安職員に対して、細々と基礎的な訓練が実施されている。

 

4.2.2 教育・訓練体制

(1) 組織・運営体制

航空局(SSCA)には、現在の組織上、民間航空訓練センター(CATC)の部門は置かれているものの、施設としては、プノンペン航空管制センターの中に訓練室があるのみである。従って、運営体制としては、航空管制の教官を兼ねる所長及び航空英語の教官を兼ねる同次長等数人がいるにすぎない。

 

(2) 教育体系

民間航空庁(SSCA)採用後の新人は、当該施設でまず基礎訓練を受ける。主に座学を中心に航空管制などの理論、方法、基準等が教授される。また、航空英語の能力開発には力が入れられており、航空保安職員のみならず、空港職員に対しても実用的な語学訓練が実施されている。2ヶ月から6ヶ月間の訓練の後、プノンペン空港、シムレアップ空港及び地方空港に配属される。航空保安職員の要員規模が小さく、また、当面の訓練需要も少ないことから、現在、航空管制実技、技術職等の実践的な訓練は、航空現場でのOJT(On-the-Job Training)が中心である。しかし、民間航空の発展に期するところは大であり、今後、空港、航空路の航空管制設備の改善に合わせ、コンピューターシステムヘの対応など近代的な設備に対する訓練の必要性は高いと考えられる。

 

 

 

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