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4.1.5 将来計画

(1) 現状の問題点

現在の施設は、現状では機能しているものの、施設が老朽化及び狭隘化してきている。一部最新の訓練装置が設置されているものの、大部分の設備機器が旧式のままである。また、新CNS/ATMシステムなどの最新技術及びパイロットコース、航空機整備部門の訓練体制が貧弱であるなど、現在の施設では今後の要員養成の需要に対応できないと予想されている。

 

(2) 将来整備計画

2002年を目標に新たに近代的な民間航空訓練センターを建設する計画が進められている。場所は、タンソンニャット空港(ホーチミン)の近くであり、航空保安職員、航空従事者等を養成する総合的な訓練施設として、基本計画が策定されている。将来的には、ハノイにも民間航空訓練センターを建設する計画も検討されている。また、ホーチミン新ACC建設計画もあり、新CNS/ATM設備も備える。CNS/ATM及びレーダー管制のシミュレーター装置も設置する計画である。

 

4.1.6 我が国ODAによる援助の可能性

(1) 援助の可能性

民間航空訓練センターを新たに建設する計画が策定されており、施設の近代化のみならず、教育訓練機能の充実等に対して、訓練・試験制度の確立、教育プログラムの設定、並びに教官の指導等への海外からの協力を要望している。CAAVとしては、航空業務全般にわたる総合的な訓練施設を計画しており、パイロット等の航空会社関連の訓練施設も含まれているため、施設の一部または個別の訓練装置・機器の改善を体系的に実施する援助が妥当である。

ハノイ、ホーチミンの航空管制センターとも運用施設の改善に合わせ・レーダー・シミュレータ装置などの訓練装置も同時に設置され、当該管制施設の実施能力を高めるための設備は整っている。しかし、今後は、民間航空の発展とともに航空交通量の増加が予想され、航空管制などの航空保安業務全体にわたる施設の改善と実施能力の向上が必要になるところであり、航空保安業務の組織、体制はある程度大規模なものになると想定される。従って、航空管制官などの要員に対する体系的な訓練制度の確立及び訓練需要は大きくなると見込まれ、それに対応するため、基礎訓練施設・制度の充実が求められ、人材育成分野において我が国からの援助も取り付きやすいと考えられる。ベトナム国内における訓練施設及び訓練体制の整備に対する支援、並びに高度な先進技術の習得に対する日本の訓練機関での研修支援等を効率的かつ効果的に組み合わせて実施するのがよい。この場合、日本で必要な資格(Rating)を取得するため、国際標準レベルの訓練が提供できるよう、我が国の訓練施設・体制を確立させる必要がある。また、周辺のラオス、カンボジアなどのように民間航空の発展状況から見て訓練需要の少ない国からの訓練生を受け入れるなど地域の総合的な訓練施設となるよう、我が国からの援助で施設を整備することも有効である。

さらに、現在は航空管制装置が訓練機器の中心になっているが、今後は、航空管制の更なる高度化(CNS/ATMへの対応等)、航空管制以外の航空通信、航空情報、消防、捜索・救難各業務の運用能力向上及びこれら業務に係る施設機器の保守整備能力を高めるための訓練需要に対して支援が考えられる。さらには、シミュレーターの機能向上のため、ソフト開発等の支援及び技術開発が考えられる。

 

 

 

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