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また、地方空港には、飛行場管制所(管制塔)のみが設置されている。空港官署としては、ヴィエンチャン空港以外に飛行場管制所のみが4箇所ある。その他は管制官署のいない地方空港である。

なお、航空保安業務の提供に伴う空港着陸料、航行援助施設使用料及び上空通過料収入は、一旦国庫に納入され、DCA/LAAに運営維持費として分配される。

 

(2) 航空管制官署の施設状況

ヴィエンチャン国際空港の航空管制センター(ATCC)では、管制塔ビルが改善され、最新の管制卓・機器、HF通信運用卓・機器、ATTN端末機器等が設置されている。現在、飛行場管制室(VFR室)には、飛行場管制席、地上管制席及び進入管制席(ノンレーダー)がある。VHF対空通信機器(VCCS)、地方空港または海外管制機関間の連絡のためのHF通信機器、気象情報表示機器及び航空情報ネットワーク表示端末も設置されている。航空路管制室には、南北2つのセクターに分かれて、ノンレーダー用の航空路管制卓が設置されている。現在、フランス(AIRSYS-ATM)製のレーダー情報処理システム及び表示装置が完備した管制卓、ADS*管制卓、及びシミュレーション機能付きの訓練用管制卓が設置され、運用調整中である。

大部分の地方空港は、旧式で老朽化した施設のままであり、通信機能も貧弱で、空港周辺の飛行場管制(VHF対空通信)及びHF通信による航空情報の送受を中心とした業務が実施されている。

施設の維持業務に関しては、技術力はあるものの、更新施設を除いて、維持予算の不足または機材が古く生産されていないなどの理由により、予備部品等の補給、調達が良好にできない状況にある。地方の施設は、ヴィエンチャンから維持作業に向かうなどメンテナンス体制が効率化しておらず障害時の復旧が遅れるなど機器の運用へ支障をきたすこともある。また、予防保全の意識も低い。航空路施設は、VOR/DMEが4、NDBが13、ILSが1、PSR/MSSRが2及びADS/CPDLCが1施設ある。

* Automated Depcndent Survcillance (自動従属監視)

 

(3) 将来動向

基幹空港(ヴィエンチャン国際空港)、航空路管制施設の整備が完了の後、DCAとしては地方空港の施設及び運用能力の改善を進めたい意向である。

新CNS/ATM*システムについては、ICAOバンコク事務所、エアロタイが推進計画を提示して、実施を求めている。自力での推進が困難なことから、何らかの形で海外からの支援を期待して、地域として歩調を合わせた改善を実施したい意向である。当初は情報通信システムを改善してATNを整備する計画がある。また、LAAが独立企業体をめざす計画が検討されている。

* Communication Navigation Surveillance/Air Traffic Management (次世代の通信、航法、監視及び航空交通管理システム)

 

3.4.4 人材育成

(1) 航空保安/管制要員の現状

航空管制当局は、管理・計画はDCA、業務実施機関はLAAと分かれているものの、職員の身分は国家公務員であり、航空管制官、航空通信官、航空情報官、航空管制技術官等の区分に分けられる。LAAの職員数は全部で276人であり、そのうち、現在、航空管制官は50人、技術官は34人、通信官は39人いる。

 

 

 

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