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現在の航空路管制所(ACC)は、ヤンゴン空港の近くに別施設としてあり、アレニア(イタリア)製等のSSRレーダー及び管制情報処理システムを備えた最新の航空路レーダー管制卓が設置され業務が実施されている。また、ADS*管制卓、CPDLC**管制卓が設置され、早い時期にミャンマー南方の海上にADSルートが運用開始される予定である。業務の大部分は、上空を通過する国際線に係るもので、ヤンゴン空港等の発着及び地方国内線に係るものは、管制卓が別にされ、マニュアルにより航空管制が実施されている。また、地方空港との間の飛行計画承認等の連絡はHF通信を利用しており、HF通信運用卓・機器装置は旧式のままのものが使用されている。

ACCには、ヤンゴンFIRを南北に分けた2セクターあり、遠隔対空通信施設(RCAG)は4カ所設置されている。ただし、VHFの通信事情は悪く、十分な到達範囲が確保されていない。レーダー施設としては、ヤンゴン空港周辺にSSR(航空路用)が1基、マンダレー新空港にASR/SSR(空港用)が1基あるのみである。ACC業務は24時間運用であり、職員が交替で勤務に就く。

地方空港には、管制塔はあるものの、簡素で古い施設のところが大部分であり、通信機器等も老朽化している。その他、航空関連施設として、主要な航空路にCVOR/DME(旧式)が設置され、その他国内の航空路、地方空港にはNDBが設置されている程度である。ILSはヤンゴン国際空港及びマンダレー新国際空港に設置されている。

なお、ヤンゴン上空は、東南アジアと欧州を結ぶ交通量の多い航空路があり、また、マンダレー上空は中国南部と欧州を結ぶ国際ルート、南部洋上には、CNS/ATM***ルートがあるが、周辺特にタイとの管制実施能力に差があり、航空路処理容量の点で問題視されている。なお、2001年には、ACCは新設のヤンゴン航空管制センターに機器一式を移設し、統合化される予定である。

* Automated Dcpendent Surveillance (自動従属監視)

** Controller Pilot Data Link Communications (管制官パイロット間データ通信)

*** Communication Navigation Survcillance/Air Traffic Management (次世代の通信、航法、監視及び航空交通管理システム)

 

(3) 将来動向

基幹空港のターミナル管制設備及び南部地域の航空路管制設備は近代化されつつあるものの、地方空港及び北部地域の航空路施設の整備が遅れており、航行援助施設、通信施設及び管制施設の改善が進められることが予想される。その他、航空局(DCA)では、航空事業管理、運航基準、航空機検査、空港管理等航空行政全般にわたって管理能力の強化を図りたいとの意向である。また、空港の運営能力、さらには、航空会社のサービス能力の実践的な改善を計画的に進める方針である。

具体的には、DCAとしてマンダレー新国際空港の発展、航空管制ネットワーク及び関連施設の改善に伴って、外国航空会社の乗り入れ増加など将来の交通量が増えた場合の取り扱い能力、メンテナンス能力など航空管制実施能力の向上に努めている。将来的には、ADSを南北各セクターで実施し、航空路上での航空機の管制縦間隔を、現在の80NM(約10分)からレーサー管制により15NM(約2分)に縮小した運用、並びに主要航空路に先進的な航空路間隔(RNP10*)の設定、及び高高度(FL290-FL410)における1000ft垂直間隔の適用等を計画している。

 

 

 

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