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(3) 航空整備計画

シムレアップ空港は日本の援助によって近代的な空港に整備された。また、現在、プノンペン国際空港のターミナルビルがBOT方式により整備中である。内話によると、一方でプノンペン国際空港をフランス企業によるBOT方式で整備する中で、シムレアップ空港を日本の援助で拡大整備されたことにより、得べかりし利益が減少したとしてフランス企業がクレームをつけた。そのため、シムレアップ空港の収益の何%かがフランス企業に支払われることになった。

 

3.2.3 航空保安業務/航空管制業務

(1) 実施体制及び業務の内容

航空保安業務は、全て民間航空庁(SSCA)の職員によって実施されており、航空管制官、航空管制技術官(維持保守要員)、通信官及び航空情報官に相当する要員が、各空港官署に配備されている。

プノンペン国際空港では、空港はBOT会社によって運営されているが、航空保安業務は航空局(SSCA)から派遣された職員によって実施されている。管制塔の飛行場管制室に飛行場管制席、補助席(地上管制席)及びマニュアルで行う進入管制席が設置され、管制官が交替で業務に就く。航空路管制所に相当するものはなく、地方空港を発着する航空機に関しては、空港周辺でVHF対空通信により飛行情報業務のみの提供及びHF通信により空港間の情報の伝達を行っている。なお、上空を通過する国際線ジェット旅客機等は、FL195を超える上空空域でタイ(バンコクACC)による航空路管制を直接に受けている。FL195以下の低高度空域での航空路管制は、部分的にべトナム(ホーチミンACC)により実施されている。

なお、航空路管制は提供しないものの、上空通過機に係る航行援助料は、一旦タイ側に支払われ、その一部がカンボジア側(SSCA)に入金されてくる。

 

(2) 航空管制官署の施設状況

プノンペン国際空港には、管制塔ビルがあり、管制運用室(VFR室)、機器室、HF通信室(装置)、管理室並びに訓練室がある。VHF通信機など一部の単体には最新の機器が設置されているものの、大部分の管制運用卓、機器は旧式である。また、建物の老朽化も著しい。空港の無線施設として、米国の援助により新式のDVOR/DMEが設置されているものの、照明施設は設置されておらず、夜間に空港は運用されない。

シムレアップ空港に関しては、基本施設は整備されており、通信装置、管制運用卓等の改善は進んでいると想定される。ただし、レーダー管制施設はなく、マニュアル進入管制及び飛行場管制が実施されている。その他地方空港では、管制官がいれば飛行場管制であり、不在のところは空港管理とあわせ情報通信業務が実施されている。航空路施設は、レーダー施設は設置されておらず、VOR/DMEが2、NDBが7ある。通信施設も空港周辺はVHF通信、空港間通信はHF通信の設備がある。

 

(3) 将来動向

国内の政治、経済、社会状況が安定しないことから、外国からの援助がスムーズに運ばない傾向にあり、航空関連施設の改善が進んでいない。空港の整備をBOT方式で実施されているが、採算性等の成果が不明で、航空保安施設の整備及び運用が今後どのように改善されていくのか明確でなく、航空マスタープランの整備(一応、1995年にCATCの整備を含む航空マスタープランは策定されているが、我が国ODAへの要請書としては採用されていない。)から始めていく必要がある。

 

 

 

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