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LDC国であることから、社会経済インフラの整備に相応して進められるべきである。航空交通量的には規模が小さく、将来的な増加は、当面は小さいものと推定される。ただし、周辺地域への騒音問題等からプノンペン新空港建設計画が持ち上がっている。

また、新CNS/ATM*システムヘの取り組み等将来への対策に関しては、国としての計画が未整備で、2003年までに対応するよう周辺国から求められており、人材育成計画を含めたマスタープランの作成等諸外国からの援助に期待しているところが大きい。ただし、タイ及び周辺国の航空管制権(空域)を統合化することを含めて検討されており、関連するATS施設整備及び要員養成計画との整合をとる必要がある。

なお、日本のエアラインについても、オペレーション、パイロット技能、機材メンテナンス体制及び設備の改善など、ICAO標準を満たすよう航空界全体として底上げに努める必要がある。

* Communication Navigation Surveillance/Air Traffic Management (次世代の通信、航法、監視及び航空交通管理システム)

 

3.2.4 人材育成

(1) 航空保安/管制要員の現状

航空保安業務要員は、航空管制官(通信、情報業務を含めた運用全般)と航空管制技術官(施設の維持業務全般)がいる。これらの要員は、組織的には民間航空庁(SSCA)に属した国家公務員(プノンペン・ポシェントン空港では空港公団に所属)であるが、航空管制等の航空保安業務の運用及び施設規模が小さく、現状数十人(業務によっては数人)程度の要員規模で十分である。また、職員の大部分は若い世代の成年であり、新規に採用されることはほとんどない。カンボジア全国で、現在、航空管制官は47名(内、女性は3名)おり、その内プノンペンに33名、シムレアップ空港に10名で、その他地方空港には全部で4名しかいない。技術官はプノンペン空港で8人しかおらず、全国でも18名程度である。その他の航空保安職種は少数の要員しかいない。いずれの職種も、新人の採用は定期的には少なく、欠員または不足が生じた時に採用している。

プノンペン空港管制所では、空港の夜間運用はないものの、低高度の上空通過機のため、24時間にわたり、管制官は3つのチームに分かれてシフト勤務をしており、技術官等も同様に交替で勤務に従事する。

 

(2) 訓練制度

機関として独立した民間航空訓練所はないものの、プノンペン空港の管制塔ビル内(航空管制センター)に、小さな訓練室が2つあり、模擬通信実習用、航空管制等の座学または英語の会話実習用(LL)に使われている。ここでは、新人訓練、リフレッシュ研修及び語学訓練が中心であり、定期的な訓練コース・プログラムが実施されている。特に、カンボジア内の航空会社、空港職員への語学訓練及び外部講師(空港のBOT会社から派遣)による空港実務の講義が頻繁に実施されている。ここでの訓練によって、基礎知識を習得または一定のレベルに達したものが、現場の機器、管制卓を利用したOJT(On-the-Job Training)を受けることになる。実運用に必要な知識、技能の大部分は、OJTによって習得されている。ただし、訓練、試験制度としては、体制が確立しておらず、基準類の整備も曖昧である。

 

 

 

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