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3.1.3 航空保安業務/航空管制業務

(1) 実施体制及び業務の内容

航空保安業務は、CAAVの下部組織であるVATMが統括しており、組織的には、本局、3つの地方業務局及び航空保安(ATS)テクニカルセンターの5つに分かれている。地方局では、当該地域に属する空港並びに航空路管制センターにおける航空保安業務を実施している。空港の管制所では、飛行場管制、進入管制を実施しており、航空路管制センター(ACC)では航空路管制を実施する。また、ATSテクニカルセンターは、ハノイ、ダナン、ホーチミンの3カ所の航空管制センターに付属してあり、航空管制官等への実践的な訓練機能を併せ持っている。なお、旧ソ連方式による航空保安業務規準がいくらか残っているものの、基本的には国際民間航空機構(以下、「ICAO」と称す)標準をベースにして航空保安業務を運用している。

空港の進入管制所は3カ所あり、タンソンニャット国際空港(ホーチミン)ではレーダー進入管制も実施されている。ノイバイ国際空港(ハノイ)及びダナン国際空港ではノンレーダーによる進入管制のみである。飛行場管制所は15カ所あり、空港の管制塔VFR室では、飛行場管制及び地上管制が実施される。なお、VATMは民間航空機のみならず軍用機に対する航空管制業務も実施する。ただし、ノイバイ空港など軍用飛行場では、軍民別々に航空管制が行われており、双方に調整官がいる。

ベトナムにはハノイFIR及びホーチミンFIRがあり、それぞれのFIRを管轄するハノイ及びホーチミンの2カ所のACCがある。ベトナム全土はほぼ航空路監視レーダーの監視空域に覆われており、航空路レーダー管制が実施されている。洋上区域ではノンレーダー航空路管制が実施される。空域構造上、航空路以外の空域は軍用空域になっており、通常、民間航空に対する管制は航空路上の飛行監視が中心である。

また、航空情報業務(AIS)、HFによる航空移動業務(AMS)及び施設維持保守のための技術業務についても、航空管制業務と同様に南・中・北部の航空交通業務局に分かれて、関係する空港及び航空路管制センターで実施されている。航空固定通信網(AFTN)及びAMS業務局がある通信センターはハノイ、ホーチミン(ACCと一致)の2カ所及びダナン空港(AFTNのみ)に設置される。

航空気象業務は、VATMに属しており、ノイバイ空港(ハノイ)、ダナン空港、タンソンニャット空港(ホーチミン)に実施機関が置かれており。

 

(2) 航空管制官署の施設状況

航空路管制センター(ACC)は、ハノイ及びホーチミンにあり、それぞれ空港に隣接して立地している。両センターとも、航空管制運用室、航空移動通信室、航空情報運用室、機器室及び航空管制訓練室がある。

ハノイACCの建物、設備は若干老朽化しているものの、レーダー管制卓及び航空固定通信網(AFTN)運用卓は更新され(一部運用中)、最新のシステムが配備されている。また、航空管制訓練室(テクニカルセンター)には、最新の航行管制シミュレーターが設置されており、2つのレーダー管制卓(進入管制、航空路管制両方に対応)、1つの画像処理装置付き飛行場管制卓、監視卓及び6つのパイロット卓がある。

 

 

 

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