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1994年には実質経済成長率8.1%を達成したものの、1997年からのアジア経済危機の影響を受け、輸入品への依存度が高いラオスにあっては貿易赤字の増加及び経済の悪化を招いている。1998年の実質経済成長率は2.5%(推定)である。主要産業は、農林業(米、豆等)で国内総生産の3分の2以上、人口の80%以上が従事している。その他、森林加工業、水力発電(タイに電力を販売している)等である。政府は2020年までにはLDCから脱却を目指し、経済改革・開放路線を進めている。

対外関係では、1986年以来、従来の親ベトナム、親ソ連から全方位外交を行っており、経済開放政策を推進し、近年は、タイ、中国等近隣諸国との関係強化、西側諸国との対外関係拡大にも努力している。ASEANには1997年に正式加盟した。また、我が国との関係では、1990年代になって要人往来が活発化してきている。貿易に関しては、一貫して我が国の輸出超過であり、我が国から一般機械、自動車等が輸出され、主として木材が輸入されている。我が国からの直接投資は累計で1,747万米ドル(1999年5月末)あり、オートバイ組立工場等があるが、全般的に低調で全投資の1%にも満たない(1997年)。

我が国からの開発援助では、同国の経済開放政策に基づく国造りの努力に対し、協力を行っている。重点分野として、行政官、税関・徴税職員、公共企業等の実務者及び技術者、金融部門の人材育成及び高等教育支援等の人造り、初等教育、保険医療、環境保全等の基礎生活分野、農業政策、潅漑設備、農村開発等の農林業支援、水力発電設備、幹線道路及び橋の整備などインフラ整備に取り組んでいる。また、他の援助国・国際機関との援助調整に配慮しながら、政策支援型の技術協力(政策アドバイザー派遣、法的・制度的基礎強化のための支援等)、市場経済化のための経済運営のノウハウ習得等への協力も予定されている。なお、我が国は、1991年以来、トップ・ドナーであり、1997年の実績で援助全体の23.09%、二国間援助の47.9%を占めている。

有償資金協力では、1996年にアジア開発銀行との協調融資による「ナム・ルック水力発電所建設計画」(円借款供与額約39億300万円)、1998年に「第二メコン国際橋梁事業」(約40億円)が実施された(同橋は2000年9月に開通)。無償資金協力では、基礎生活分野を中心にして、国際機関等他のドナーとの協調で運輸インフラ整備に対しても援助を実施している。1998年度には空港整備、橋梁整備、農業・農村開発、森林保全、保健医療などの協力を行った。技術協力としては、人造り、社会基盤整備、農業、保健医療分野を中心に実施しており、近年拡大している。1990年から青年海外協力隊の派遣再開、1992年にはプロジェクト方式技術協力が再開された(公衆衛生プロジェクト)。

※以上の経済社会概況データは、ODA白書(1999年版、外務省経済協力局編)、情報事典「イミダス」(1999年版、集英社)による。

 

 

 

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