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2.2 カンボジア王国

インドシナ半島の南東部に位置し、ほぼ平坦な国土を有する。メコン河、トンレサップ湖など水理に恵まれ、水稲農業が盛んであるが風水害を受けやすい。熱帯モンスーン気候に属す。

国土面積は176,500km2(日本の約2分の1)で、人口が約1,000万人である。首都プノンペンは人口約100万人で政治、経済、文化の中心である。クメール族が大半を占め、クメール語が公用語で、仏教が国教となっている。独自の通貨(リエル)を持つが市中では米ドルが通用している。プノンペンには日本大使館、JICA事務所が置かれている。

長い内戦状態にあったが、1991年10月のカンボジア和平合意が結ばれ、1998年7月の総選挙の実施を経て、同国の復興と民主化に向けた動きが進展している。一人当たりの国民所得が300ドル(1997年)で後発開発途上国(LDC)の一つである。主要産業は農林水産業で、GDPの約50%を占め、全労働人口の約8割が従事している。徴税制度など社会制度が不十分なため新政府の財政は非常に厳しいものとなっており、インフレ率は押さえられているものの、内政不安やアジア経済危機等の影響によりGDP成長率は1998年で0%と低下している。

対外関係では、1998年の総選挙の実施、人民党・フンシンペック党連立与党によるフン・セン新政権の樹立後、同年12月に国連代表権が回復、並びに1999年4月にASEAN加盟が実現した。また、我が国との関係では、1999年2月に東京で開催された第3回カンボジア支援国会合、また、文化面で1993年10月に東京でアンコール遺跡救済国際会議を主催するなど、幅広い分野においてカンボジアに対する支援の中心的役割を果たしている。

我が国からの開発援助では、同国の復興及び民主化に向けた努力を積極的に支援することとし、DAC新開発戦略の重点国として、我が国ODA大綱を踏まえつつ協力を行っており、現地の治安状況の改善等を慎重に見極めつつ援助を実施している。実際的には、人道援助を中心に緊急に必要とされる援助を実施するとともに、経済インフラ、基礎的生活分野、農業、人材育成等の分野を重点分野として、これまで無償資金協力及び技術協力を実施してきている。1998年度における実績は、総額96.73億円、無償資金協力78.23億円、技術協力が18.50億円である。

有償資金協力では、同国が後発開発途上国(LDC)であることから見送ってきたが、小規模インフラ案件から試行的に行うこととしている。無償資金協力では、運輸インフラ(道路・橋梁)整備、社会インフラ(上水道・電力)、農業案件、選挙支援を行っている。技術協力としては、母子保健、結核対策や法制度の整備(重要政策中枢支援)を支援している。特に、地雷対策への支援を活発に行っている。その他、「カンボジア難民再定住・農村開発計画」によるUNDP、ASEANとの共同技術協力の実施、「日・インドシナ友情計画」による青年招聘(1995年度から)、途上国の女性支援(WID)のため草の根無償資金協力等が実施された。

現在、カンボジアへの日本からのODAは、8割が無償援助(ハードもの)で、技術協力は少なく、プロジェクト技術協力が三件(医療2、教育1)実施中のみである。2001年には潅漑、林業分野でのプロジェクト技術協力の実施が予定されている。

 

2.3 ミャンマー連邦

インドシナ半島の西側に位置し、北に中国、東にラオス及びタイ、西にインド、バングラデシュと接している。北部から東部は山間地、中部はイラワジ川流域の盆地、南部はイラワジ河河口部に広がる平野がある。気候は、北部、中部は熱帯湿潤気候、南部は熱帯モンスーン気候である。雨期(4月〜9月)と乾期(10月〜3月)に分かれるが、北・中部は冬季に冷涼な気候となる。また、南部及び海岸部は雨期にモンスーンの影響で多量の降雨がある。

 

 

 

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