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3.2 尾道丸

 

3.2.1 事故概要

昭和55年12月30目、ばら積貨物船・尾道丸は、野島崎東方900海里付近の海上で船首を折り、SOSを発した。幸い鉱石専用船だんぴあ丸が付近を航行しており、SOS発信約3時間半後に、尾道丸の至近距離に到着した。しかし、尾道丸の乗組員29人全員が無事救助されたのは2日後の翌昭和56年1月元旦の早朝7時45分であった。

救助が成功した原因は、尾道丸を救助した「だんぴあ丸」の船長の経験と船首折損後も尾道丸が大きな傾きもなく長期間海上に浮かんでいたことである(2月11日にグワム島の東方約700マイルで、完全に沈没するまで、44日間浮いていた)。この浮いていた時間を、ぼりばあ丸の遭難から沈没までの約1時間、かりふおるにあ丸の約9時間と比べれば、圧倒的に長く、沈没に至る時間と人命救助率は密接に関連していて、船舶の区画配置の重要性を示している(図3.2.1)。

 

 

 

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