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(3) 対応策の検討

附属書VIやNOxテクニカルコードで明確に規定されていない事例の扱いについて幾つ期のケースを想定して検討し、最も可能性の高い対応方法を予想した。合せて対応に要する費用を試算した。

 

(4) 問題点等の抽出

船舶就航後に行われるパラメータの変更やテクニカルファイルの更新、また発効時への対応や2000年1月1日より前に建造された既存船への適用等、附属書VIやNOxテクニカルコードに明記されていない部分に多くの問題点を含んでいることが判明した。主な問題点は以下の通りである。

(a) 書類に関する問題点等

1) テクニカルファイル更新時等の扱いや対応に関する記載が不充分であり、またエンジンパラメータチェックリストとの照合が必要である。

 

(b) 検査に関する問題点等

1) エンジンパラメータチェック法におけるNOx関連部品の適合性の初期確認が規定されていない。

2) 簡易船上計測法は、時間的制約があり気象等に左右され、排出率計算に即時性が要求される。また規制値を超えた場合の対応策が規定されていない。

 

(c) 測定に関する問題点等

1) 計測器の校正間隔が非常に短いと思われる。再検討が必要である。

2) 簡易船上計測で使用出来る機種が少ない。

 

(d) 運用に関する問題点等

1) パラメータの変更の具体的な扱いが明記されていない。変更に至る経緯により、事前に取り得る手段が異なってくるためより具体的な指針が必要である。

2) 既存船への第13規則の適用には、a.使用部品等のリストアップおよび定期的な照合作業が必要であること、b.緊急時は事前計測は殆ど不可能であること、c.全船舶がNOx排出規制に対応できるとは限らないこと等、解決が極めて困難な問題点がある。既存船への適用は削除するか実現可能とするための大幅な見直しを提案した。

3) 発効時への対応方法が規定されていなため共通のガイドラインの策定を提案した。

4) NOx実測値が許容値を超えた場合の対応について規定されていないため共通のガイドラインの策定を提案した。

5) いわゆる海賊部品の扱いについては現実的な問題として今後関係者間での検討・意見調整が必要である。

 

2.3.2 成果の活用

船舶を発生源とする大気汚染防止のため国際的な規制を行い、地球環境を保全することは非常に意義深い。しかし規制に当たっては、何よりもまず附属書VIが効果的かつ公平に遵守されることが前提である。

 

 

 

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