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2.2.5 附属書VI発効時への対応

附属書VIの第13規則は2000年1月1日以後の建造船舶から遡及適用されることになっているので、既にNOx規制の対象となるエンジンを搭載した船舶が就航しているが、第13規則やNOxテクニカルコードでは発効時までの対応方法に関して規定されていない。そこで便宜的な手段として、船籍国主管庁から鑑定書発行の代行権限を与えられた船級協会が、希望する船主に対してNOx排出率が規定内にあったことを示す鑑定書を発行している。鑑定書には予備検査に対応するものと、初回検査に対応するものがあるが、これに加え初回検査鑑定書が定期的な検査によって有効に維持されているかの証明も重要である。附属書VI発効時への対応方法としては、予備検査鑑定書および初回検査鑑定書の有無およびその初回検査鑑定書の有効性によって最終的には次の3つの方法が取られると考えられる。

1) 予備検査および初回検査鑑定書を所有し、かつ定期的な検査により初回検査鑑定書が有効に維持されている場合は、予備検査鑑定書はそのままEIAPP証書に切替ると考えられる。また、NOxに関する船上初回検査を行う必要はないものと考えた。ただし、この検査を船級協会が行うかどうかは船籍国主管庁の指示(主管庁代行権限の有無)によるものである。

2) 予備検査鑑定書のみを所有している場合、もしくは予備・初回検査鑑定書とも所有しているが、初回検査以後定期的な検査を実施しておらず無効となっている場合は、予備検査鑑定書はそのままEIAPP証書に切替ると考えられるが、初回検査は実施することになると考えられる。検査はNOxテクニカルコードに規定されるパラメータチェック法または簡易計測法のいずれかの検査を行うことになる。

3) 予備検査および初回検査鑑定書とも所有していない場合は、NOxテクニカルコードの規定に従い、予備検査と初回検査を同時に行う船上試験が要求されるものと考えられる。

EIAPP証書およびIAPP証書についての責任および権限は船籍国主管庁が持っており最終的な判断は、船籍国主管庁が行うこととなるが、以上のことから推測すると、少なくとも予備検査鑑定書は所有しておいた方が良いと思われる。

 

2.2.6 情報収集

(1) 欧州のNOx規制に関する実態調査

本研究部会の委員2名が、欧州の船級協会、エンジンメーカ、船会社を訪問し付属書VIの運用に係わる欧州の動向・見解を調査した。

1) 期間:平成11年9月12日(日)〜9月18日(土)

2) 訪問先、訪問日:

a. 船主A (英国 9月13日)

b. 船級協会B (英国 9月13日)

c. 船主C (デンマーク 9月15日)

d. エンジンメーカD (デンマーク 9月15日)

e. 船主E (ノルウェー 9月16日)

f. 船級協会F (ノルウェー 9月17日)

3) 調査結果

全般的には、各団体とも予想に反し、さほど関心が無いように感じられ、特に大手の船主において関心度が低いことが印象的であった。船級協会では各国主管庁の代行権限を得る等の行動を起してはいるものの、各船級協会間での横通しあるいは、実運用に関連した主管庁とのコンタクトはされていない。いずれの業種ともそれぞれが現在しなければならないことを必要に応じて実施しているという印象であり、従って全体を纏めようとする動きは伺えない。

 

 

 

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