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(2) 試験用IGSスクラバーの設計と性能

実船で長年、実績のあるIGSスクラバーの基本設計法を応用してEGR率30%まで対応可能な試験用スクラバーの主要諸元を表3.1のとおり決定した。

 

表3.1 試験用スクラバー主要諸元

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IGSスクラバーの浄化部である折れ板型エレメントのディーゼル ばいじんを対象にしたばいじん除去効率を予測計算した。試算結果を図3.1に示す。この試算結果から折れ板型エレメントを持つ充填塔方式スクラバーのばいじん除去効率は最大でも20%程度であると考えられる。

 

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図3.1 エレメント間隔(p)とばいじん除去効率

 

(3) 改善型スクラバーの設計と性能

大型舶用ディーゼルエンジンの排ガスが本来、微細なばいじん主体であるため、充填塔方式スクラバーではばいじん除去効率に限界があることから、EGR時のリング・ライナ摩耗を低減するには、不十分であることが予測された。このため、ディーゼル ばいじんの主体である2μm程度の微細粒子領域まで捕集する方法として高圧の微細な水滴をEGRガスに噴射衝突させ、微細ばいじんを肥大化させて捕集できるジェットスクラバーの性能計算法を確立すると共にそれを採用したスクラバーを設計製作した。

この改善型スクラバーの浄化性能確認試験を実施した結果、次の性能を得た。

ばいじん除去効率:70%

SOx除去効率:98%以上

(4) スクラバー装着エンジン試験結果

改善型スクラバーを50%NOx低減可能なEGR率で21時間連続運転した。リング摩耗量は1stリングで比較すると改善型スクラバーの方がスクラバー無しより30%以上低減しており、EGRにはスクラバーの利用が必須であるといえる。また、従来型であるIGSスクラバーも摩耗低減に効果があることが確認できた。

 

 

 

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