(3) 改善型スクラバーの設計と性能
大型舶用ディーゼルエンジンの排ガスが本来、微細なばいじん主体であるため、充填塔方式スクラバーではばいじん除去効率に限界があることから、EGR時のリング・ライナ摩耗を低減するには、不十分であることが予測された。このため、ディーゼル ばいじんの主体である2μm程度の微細粒子領域まで捕集する方法として高圧の微細な水滴をEGRガスに噴射衝突させ、微細ばいじんを肥大化させて捕集できるジェットスクラバーの性能計算法を確立すると共にそれを採用したスクラバーを設計製作した。
この改善型スクラバーの浄化性能確認試験を実施した結果、次の性能を得た。
ばいじん除去効率:70%
SOx除去効率:98%以上
(4) スクラバー装着エンジン試験結果
改善型スクラバーを50%NOx低減可能なEGR率で21時間連続運転した。リング摩耗量は1stリングで比較すると改善型スクラバーの方がスクラバー無しより30%以上低減しており、EGRにはスクラバーの利用が必須であるといえる。また、従来型であるIGSスクラバーも摩耗低減に効果があることが確認できた。