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問題点は、1)書類に関する問題点、2)検査に関する問題点、3)測定に関する問題点、4)運用に関する問題点に分類した。予備検査等の実際に作業が発生している部分については、幾つかの問題点はあるものの実運用可能と判断できたが、就航後に発生するであろうパラメータの変更やテクニカルファイルの更新、発効時への対応、既存船への適用等、明記されていない部分に多くの問題点を含んでいることがわかった。

特に、既存船への第13規則の適用には、a.使用部品等のリストアップおよび定期的な照合作業が必要であること、b.緊急時は事前計測が不可能であること、c.全船舶がNOx排出規制に対応できるとは限らないこと等、解決が極めて困難な問題点があることから、これを削除するか実現可能とするための大幅な見直しを提案した。

 

2.1.8 費用の試算

パラメータの変更や、既存船への適用、発効時への対応等に要する費用を試算した。

 

2.2 成果の活用

船舶を発生源とする大気汚染防止のため国際的な規制を行い、地球環境を保全することは非常に意義深い。しかし規制に当たっては、何よりもまず附属書VIが効果的かつ公平に遵守されることが前提である。本研究により、現実的にすぐにでも起り得る問題点が数多くピックアップされたが、今後はこれらの指摘された多くの問題点を一つ一つ解決して行く作業が必要であろう。このことによって附属書VIをより効果的かつ公平な規制とすることが出来る。

前述の通り、附属書VIの批准作業が遅れているが、今後予定されている発効要件見直し時等に、効果的で実体に則した提言を日本が行う上での基礎資料として本成果が活用されることを望みたい。また、エンジンメーカや造船所、船主、船級協会等の関係業種にあっては、附属書VIの運用に際し、個々のあるいは共通の現場で発生する諸問題を解決するための資料として活用されることを希望する。

 

本研究部会で実施した研究のうち附属書VIやNOxテクニカルコードに明記されていない事項については、最も可能性が高いと考えられる場合を想定した。

ただし、附属書VIやNOxテクニカルコード等の運用に関する裁量権は船籍国主官庁に帰属するので、最終的には主官庁の指示に従うこととなる。

 

3. EGRシステムの舶用化研究

3.1 研究内容と得られた成果

(1) EGRの課題調査

エンジンで特別の対策無しでEGRを行うと摺動部が異常摩耗する。その主な原因は排ガス中に含まれるSOxやばいじんが潤滑油に混入し摩耗させるからである。*1実際にシリンダ油にカーボン粒子を混入し摺動試験を行うと油中カーボン濃度に比例して摩耗量が増加する。*2このため、EGR実施時の有力な異常摩耗対策として再循環するガスを極力クリーンにする排ガス浄化装置を開発し装着することであると考えられる。

 

 

 

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