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6.1 経路傾斜時の歩行実験

通路等経路の傾斜時歩行実験は、船員に導かれて歩く群衆流を想定し、男女約20名の被験者により行った。歩行速度、流動係数は個々人ではなく群衆全体を対象として解析した。また、種々の避難条件において多様な人体移動係数を使用する場合を考慮し、船体が水平である場合を基準とし、傾斜した場合に使用する人体移動係数の傾斜補正係数を求めた。傾斜歩行実験における模擬通路は、足場用鋼製パイプで構成し、通路の長さは約6m、通路幅(手すりの内側間隔)は1.2mとし、床は木製でカーペットを張り、手すりは0.9mの高さに設置した。模擬階段は、階段傾斜角度は45度、段数は10段として、水平面への投影寸法2mとした。その他、ステップ面はカーペット張りとし、手すりは左右共に0.9mの高さに取り付けた。群集を対象とした歩行速度と船体傾斜時の補正係数を表2、流動係数と船体傾斜時の補正係数を表3に示す。

 

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表2 船体傾斜時の歩行速度と傾斜補正係数

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表3 船体傾斜時の流動係数と傾斜補正係数

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6.2 船舶避難経路におけるその他の係数

船舶の避難経路において、考慮すべき条件の中に、避難群集に対向して移動する乗員の影響、甲板に出る開口部におけるコーミングの存在、船体動揺の影響などがある。

通路の歩行実験において、群衆先頭者が中央に来た時点で対向者1名が反対方向から歩行開始をする実験を行った。ただし、通路長さが限られているために、対抗者が通路を通過した後に通路に入って来て、対向者とすれ違わないまま歩行を終える歩行者も存在する。そのため歩行速度については、対向者とすれ違う部分を含む歩行速度(1m間)を測定し、流動係数については、対向者が模擬通路を歩行中に通路中央部を通過した人数について測定した。

 

 

 

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