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3. 単胴客船の試設計

平成10〜11年度に試設計した5隻の客船はすべて単胴の在来型船であり、いずれも現存する内航客船をモデルにしている。主要目を表1に示す。

 

表1 試設計船(単胴)の要目

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4. SOLASII-1章第8-3規則による2区画可浸計算

試設計した(A)〜(D)船について、第8-3規則の妥当性を検討するため、SOLAS損傷時復原性計算を行った。仮定した損傷範囲および判定基準(2区画可浸要件)は下記の通りである。

・損傷範囲

(1) 縦方向範囲は、横置隔壁をはさんで、11mか(3.0+0.03L)mのいずれか小さい方。

(2) 横方向範囲は、最高区画満載喫水線の水平面において、中心に対して直角に船側から内側に、船幅の5分の1の長さ。

(3) 船首隔壁より前方は限定なしに基線から上方、船首隔壁より後方は乾舷甲板まで。

・判定基準

(1) 浸水後の水面位置が限界線より下にあること。

(2) 最終平衡状態における横傾斜角が12度未満であること。

(3) 正の残存復原挺が、平衡角度から15度以上あること。

(4) 浸水後の最大残存復原挺が、片側に全ての旅客が集中した場合の傾斜モーメントと、風圧モーメントのうちの大きい方のモーメントを考慮して、次式により計算される値以上であること。

GZ(m)={(傾斜モーメント/排水量)+0.04

ただし、0.01m未満であってはならない。

(5) 最終平衡角から27度までの復原挺曲線下の面積が0.015m・rad以上であること。

計算は、満載状態の2つの喫水状態について、出港(Departure)と入港(Arrival)の2つのケースについて実施した。

その結果、いずれの船においても、船首、船尾においては2区画可浸要件を満足するものの、これら以外の区画においてはこの要件を満足できないことが判った。この要件を満足するためには、なかり大規模な設計変更が必要であるとの結論に達した。

 

 

 

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