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年頭所感

 

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国土交通省海事局

局長 谷野龍一郎

 

平成13年を迎えるにあたり、謹んでお慶び申し上げます。

一進一退が続いていた我が国経済は、集中的な経済対策の実施と中長期を見据えたIT革命の推進等の経済構造改革への取り組みによりゆるやかな回復基調にあります。経済環境の悪化に伴う低船価等に苦しんだ造船業においても、スリム化による経営基盤の強化等の対策によりわずかながら改善の兆しがみえるところであります。しかしながら近年、大幅に増強された建造設備と通貨危機後のウォン安を武器に急激に受注量を伸ばしている韓国、国策として造船業の新興を図っている中国等の新興造船国の台頭により厳しい環境におかれております。このような傾向は我が国製造業全般に見られ、これまでのような優位を維持していくことは、よりコストの安いアジア諸国による追い上げにより年々難しくなってきております。

こうした状況を打破し、21世紀も我が国造船業が世界のリーダーとして発展していくためには、これまでの追随型の技術開発からフロンティア精神に基づく創造型の技術開発に転換することが重要であり、新技術の積極的活用と技術開発体制の充実が不可欠であります。造船各社においては、生産性、研究開発力のさらなる向上を目指し、ITの積極的活用に加え、ドラスティックな生産体制の再構築に取り組んでおられるところと存じます。行政においても、海上技術安全局、海上交通局を統合した海事局が誕生し、より広い視点から造船業の発展を支援する政策展開が可能となります。今後海事局といたしましては、従来の造船技術の枠にとらわれず、海洋利用の新たな可能性を拡げるメガフロート、高速海上輸送網を実現するテクノスーパーライナー、ITの活用により総合的に海上輸送を高度化する海のITS、内航物流を飛躍的に効率化するスーパーエコシップなどの次世代技術の研究開発をこれまで以上に積極的に推進していく所存でございます。

貴協会は、我が国造船業における産学官の共同研究の中核として、設計技術の高度化、船舶運航・機関管理技術の向上等を目指し、船舶、海洋等に関する幅広い分野の研究開発、基準策定に資するなど、安全・環境研究の先駆者として既に長年の実績を残しておられるところであります。今後も、我が国はもとより世界の造船技術をリードし、新たな技術の創出に向けて、産学官の連携による先端技術の研究開発、安全性確保及び環境保全のための研究を一層積極的に進められることを期待しております。

最後に、貴協会並びに会員各位の御活躍を祈念しまして年頭の挨拶とさせていただきます。

 

 

 

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