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バンサファンからの貨物にはバンコクの民間埠頭を所有している顧客への貨物もあると思われる。バージでの運搬は、港湾手数料及び地元のトラック費用をかけずに、これらの埠頭へ直接輸送することができるという優位性がある。バージが利用される所では、鉄鋼は直接民間埠頭に輸送されるという仮定の下で再度比較を行った。これによると、トン当たり約70バーツの節約が可能だが、これを考慮に入れてもRo-Ro船が最も安価な選択肢であることに変わりがない。

 

8.6.4 マプタプト〜バンコク

 

マプタプトからの航路は、本調査で検討した他の路線に比べ非常に距離が短い。同ケースでは陸上路線が海上航路と比較してより直接的であるという点でも他の航路と異なっており、他のケースとは逆である。

そのため、他の航路と比較して同航路で海上航路が競合することは難しいと考えられる。表8.6.4-1が示しているのが分析の結果である。表の通り、バンコクの公共埠頭に輸送される貨物に対しては、道路輸送の方が他の海上輸送手段と比較して安価となっている。

しかしながら、実際にはマプタプトからバンコクヘ輸送されるコイルの大部分がチャオプラヤー又は付近の運河にある民間埠頭の顧客へと輸送される。従って、さらに本モデルを用いて民間埠頭へのバージ運送の費用を評価した。この場合、伝統的なバージの運航費用は230バーツ/トンに減少し(インベントリーコスト16バーツを除く)、道路輸送と比較して競争力のある数値となった。しかし、差異は小さく、バージの運航に伴う低信頼性及び貨物損傷への高リスクを補うものにはならないと考える。

最後に、高馬力バージが定時性運航を行わず、鉄鋼の輸送に必要でないときは他の業務に使用するというモデルで再試行すると、伝統的なバージと非常に近いコストになることがわかった。もちろんこの場合には、高い信頼性を得ることができる。

 

 

 

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