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7.2.3 生産

 

世界の鉄鋼産業は毎年7億5千万トン以上の粗鋼を生産している(過去10年間の平均年間生産量に基づく)。最大の鉄鋼生産国は中国、日本、米国で、それぞれ合計で1億トン程度を生産している。ロシア、ドイツ、韓国はそれぞれ4千万〜5千万程度生産している。ステンレス鋼の生産は過去10年間で急激に増加し、1988年には1,300万トンだったステンレス鋼の完成品が、1997年には23%超の増加である1,600万トン超製造された。ヨーロッパ及びアジアでは同期間中に50%を超える生産の増加が見られた。最大のステンレス鋼生産国である日本(ほぼ400万トン)、米国(200万トン)に続きドイツ、韓国、イタリア、フランスがそれぞれ1997年には100万トン超のステンレス鋼の完成品を生産している。

 

7.2.4 需要

 

どの国においても鉄鋼の使用は経済発展の段階と密接に関連しており、最大の消費国は世界で最富国である。鉄鋼最終製品の年間鉄鋼消費量はアフリカの1人当たり約20kgからヨーロッパの約340kg、北アメリカの420kg、日本の635kgの範囲に及んでいる。しかしながら、最大の消費者はアジアで、シンガポール(1,200kg/1人)、台湾(970kg超)、韓国(830kg)である。アジアでの1人当たり消費量は、工業、輸送インフラストラクチャー、建設への投資により急激に増加し、全般的な生活水準を改善している。例えば、過去10年間における1人当たり消費量は、マレーシアでは約470%、韓国では240%、中国ではほぼ80%増加した。

鉄鋼需要と経済活動の関係は、タイの場合、アジア経済危機後の1998年に鉄鋼需要が急激に落ち込んだことにより劇的に例証されている。タイ銀行のデータに基づくと、1997年の鉄鋼の生産は約1,232万トン、又は1人当たり約170kgとなるが、1998年にはこれが建設部門の需要減により611万トンまで減少する。

 

7.2.5 鉄鋼の利用

 

鉄鋼は非常に多くの製品に使われている。鉄鋼の最大の市場は建設(建物、輸送インフラストラクチャーなど)、自動車、梱包材である。電子部品、工業器具、医療品も、特殊鋼及びステンレス鋼にとっては重要な市場である。

多くの共通品は、耐久性があり美しいステンレス鋼で作られている。ステンレス鋼は個人の装身具、家庭用品、金属製家具、照明、装飾品に使用されている。ステンレス鋼は表面に非常に耐性があり、簡単に清潔にできるため、病院、無菌環境、食品加工工場、レストランなどで広く使用されている。

 

 

 

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