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しかし実際にはスコットランドの輸送量には大幅な不均衡があるので、大陸の貨物を内陸部と北西部に運んだ後にスコットランド発の貨物を積み出すという、三角貿易のパターンが定型化している。RoRoによるスコットランド航路は単にトレーラを1方向に運ぶだけに終わってしまう公算が高い。それでもなお、英仏海峡までの720kmの陸路の代償として適当な運賃で採算が取れ、所要時間で有効に競合できれば、成功する可能性もあると考えられる。

従来の貨物専業の船社は、貨物輸送が副業でなく本業であり、RoPaxのオペレーターにとってうま味の多い客が多くトレーラは断られてしまう休日でも、スペースを提供できることを強みとして競合することができる。

これはモーダル・シフトに関する実際的な決定要因、そしてこの事業の大きな航路特異性を示す好例である。モーダル・シフト政策は必ずしも他のフェリー方式に対して殊更にRoPaxの利用を優先させようとするものではない。それは航路の性格や輸送距離によって決まる問題である。

しかしながら、フェリー市場の継続的成長を確保する上で重要な政策となっている。

 

6.4 複合輸送の特免措置

EUは複合輸送事業者に「44トン特免措置」を講じている。これは経路が一部鉄道を利用するものであれば、EU域内の道路で通常の制限である40トンを越える44トンのトラックの走行を認めるというものである。ただし、イギリスでは政府が、道路と環境にやさしい設計のトラックである限り、一律に44トンまで認めているため、既にこの特免措置の価値を失わせている。鉄道に対するこの特免措置は全面的に意義を失ってしまっており、これは明らかに鉄道利用の複合輸送市場を弱体化させるものである。

しかし重量貨物は市場の比較的小部分を占めるに過ぎないので、フェリーの設計や運航にあまり影響を及ぼすものではない。トレーラで輸送される貨物の平均重量は12トン前後で、したがって貨物は重量よりも寸法で制限を越えることの方が多い。

 

6.5 環境

RoPaxフェリー、あるいは他の船種についても固有の環境間題は特にない。明らかとなっている主要な問題は排気に関するものである。SOxおよびNOx排出物に対処する接触変換装置や注水システムはいまだに開発の初期の段階を出ていない。

 

 

 

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