日本財団 図書館


内航海運に関する制限とそれが国内事業者による運航に与えていた保護は、北ヨーロッパではすでに何年も前に撤廃され、1999年にはその波が地中海諸国にも及んだが、ギリシャは例外として2004年までの猶予を与えられている。

 

6.3 道路から水路へのモーダル・シフト

EUが道路から水路へのモーダル・シフトを奨励する意図は、最短の陸路への集中を緩和し、海路への移行により全般的に道路依存を低下させようというものである。鉄道を利用した複合輸送奨励策も同様に、道路輸送量の果てしない増大に直面し、輸送がもたらす社会的・環境的悪影響を最小限度にとどめようとするものである。このモーダル・シフト政策は、例えば週末のトラック通行禁止の延長や高速道路料金の値上げにつながる可能性もある。

EUではモーダル・シフトがもたらす可能性についてさまざまな調査を実施してきた。例えば1997年にEUが行った調査によると、ビルバオ/ロッテルダム間の海路で約300万トンの貨物を経済的に輸送することができるが、その90%は現在は陸路で運ばれているという。両港とも経済的後背地は40フィート・コンテナの場合170km、20フィート・コンテナの場合250kmに及ぶ。また同調査によれば、内陸輸送の非効率要素を排除することにより、総輸送コストはさらに15%削減しうるとしている。

トレーラを運転手なしの無人で輸送する効果的なフェリー・サービスがないが、速力と頻度でコンテナ輸送と競合し、価格では有人トレーラと競合するサービスで、ニッチ市場を開拓できる可能性がある。市場全体が成長し、費用と時間のパターンが変化するとともに、英国および大陸北部の諸港発着の効果的なRoRoトレーラ・サービスが増えるという傾向が一般的に現れるようになるであろう。イペリア半島向けのコンテナ輸送はすでに実施されているが、RoRoサービスにより高付加価値の生鮮食料品の輸送が高速化が可能になり、またトレーラや商用車にとってRoRoは自然な輸送方式でもある。

ギリシャのオペレーターAttica Linesが所有するSuperfast Ferriesでは、スコットランド/欧州大陸間に高速便を開設するために新鋭フェリーの投入を考えている。Atticaはギリシャ/イタリア航路の運航でよく知られるが、最近ではバルチック海市場への参入計画を発表している。Arricaと同じくギリシャの船社Minoan Linesもこのバルチック海航路の応札に関心を有していると伝えられ、さらに2社の入札参加が求められている。

その他の例では、EUが補助した調査によれば、アドリア海の高速RoPaxサービスに匹敵するようなサービスが、フォース湾のローサイスとオランダのブリシンゲンの間に開設可能であるとしている。26ノットの速力で片道16時間、2隻を投入して双方向1日1便を運航できる。このサービスでの年間輸送能力はトレーラ42,000台と試算されるが、これは現在陸路で運ばれている運転手付き・なしの国際道路輸送用トレーラ合計150,000台のほぼ1/4に相当する。

スコットランドの荷主はイングランド内陸の道路の混雑により、年間成長率5%といわれる市場にあって、輸送能力が制約されるのではないかと、懸念を強めていると伝えられる。このサービスは、現在の輸送量に70%のシェアを占めている英仏海峡諸港やユーロトンネルと競合し、またイングランド東海岸の諸港とも競合することになる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION