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バルチック海沿岸諸国では地中海方面と同様、民有化はまだこれからという部分もあるが、Lithuanian Shipping Companyはすでに民有化され、これに続いてEstonian Shipping Companyの民有化も確実視されている。またバルチック水域では1994年のEstonia号の惨事から、より大型、安全な船舶を求める動きが勢いを強めているが、地中海方面の船主はこれを自水域には無関係のものと見ている。

 

1.2.5 各種の影響要因や外部要因

主要な影響要因や外部要因としては以下が挙げられる。

- 競合相手となるインフラの建設

- 政府の政策と戦略

- 紛争

 

競争相手となるインフラの建設

輸送量が大きく陸地の間隔が狭いところでは、橋やトンネルが建設される。フェリー市場全体としてみればこれは輸送量に大きな影響を及ぼすが、狭い海峡では従来と同じ輸送量を運ばなければならない船舶は少ないので、船腹量に及ぼす影響は比較的小さい。RoPaxは短距離航路にはあまり適さないので、影響はあまり受けない。しかし一部のフェリーが余剰となり、それにより新造船需要が鈍化するという影響はあり得る。

英仏海峡トンネルはこの種の大規模インフラとしては最新のものであり、現にヨーロッパ最大のフェリー航路の貨物量を半分奪った。イギリスの東海岸の港とドーバー/カレー航路に予想外に甚大な影響を及ぼし、コンテナ船の貨物を奪った―しかしそれも当初の数年間だけのことで、トンネルが飽和状態に近づくにつれて、海路が再び地位を強化している。

次の大規模なインフラはエーレスンド橋で、これは2001年に供用開始となる。これについては2つの間題が問われている。

・関連航路からはじき出されたフェリー(在来型の昼間用)はどうなるのか。従来であったら、地中海かバルチック諸国に転配されたところであるが。

・関連航路のうち何航路が実際に影響を受けるのか、スウェーデン/トラヴェムンデ航路や、その他直接競合航路の荷動きはすべて全陸上経路に移ってしまうのだろうか。スウェーデン/ドイツ航路は潜在的にRoPaxに適した航路である。

 

政府の政策と戦略

過去および現行の政府の政策と戦略で主なものは以下のとおり。

・EU(欧州連合)域内船上販売の免税扱いと内航交通権(カボタージュ)に関する制約の廃止

・民間航空の規制緩和

・道路から水上へのモーダル・シフト戦略

 

 

 

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