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5・1・2 試験条件

メチルエステルの燃焼撮影における試験条件を表5・1に示す。

 

表5・1 試験条件

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5・1・3 試験結果

(1) 空気温度の影響

空気温度773K、1073Kにおける燃焼経過を図5・2に示す。着火は、空気温度773Kの場合では噴射開始後1.2ms後、1073Kの場合では0.4ms後で、噴霧の横側で不輝炎として認められる。なお、着火開始の不輝炎は小さく、図では明瞭に確認できないので、図5・2では着火時期は0.1ms後の図を載せている。したがって、着火遅れは773Kでは1.2ms、1073Kでは0.4msとなり、通常の軽油の場合とほぼ同じである。

着火後、773Kの場合、1073Kの場合ともに、着火点から噴霧先端に向かって噴霧は火炎に包まれる。773Kの場合では、着火後、0.3ms〜0.4msで着火遅れ期間中に形成されたものと考えられる予混合気による不輝炎で噴霧が包まれ、噴霧が横方向に膨張する。その後、噴射の継続にともなって噴霧内に燃料が供給される結果、噴霧全体に輝炎が広がる。しかし、輝炎が噴霧全体に広がった場合でも側方には不輝炎が残っている。メチルエステルでこの火炎内にすすが存在しない不輝炎が観察されるのは、メチルエステルには約12w%程度の酸素が含有していることが影響していると考えられる。時間の経過とともに輝炎は噴霧先端に移動し、噴霧後方では不輝炎となる。輝炎は噴霧先端に長時間残り、この部分への空気導入が不足していることを示している。輝炎の中心部、先端に褐色の部分が認められ、この領域にすすが多く生成していると考えられる。

1073Kの場合では、着火遅れが非常に短く、混合気の形成が遅れるので、着火時の不輝炎は単時間で消滅し、噴射終了後0.8ms〜0.9msまで噴霧は輝炎で包まれる。着火後輝炎は噴霧先端に向かって進む。この期間の噴霧先端は黒い影となっているが、非常に高い過濃混合気となっているものと考えられ、これは着火遅れが非常に短いので、噴射された燃料の大部分は火炎の中を通過して先端に向かっているためと考えられる。

 

 

 

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