5. 平成12年度研究開発成果報告
5・1 メチルエステルの燃焼観察
廃食用油は軽油に比べて粘度が10倍以上大きく、噴射される燃料噴霧の発達、その後の燃焼に大きな影響を及ぼす。そこで、廃食用油から精製され、従来のエンジンにも使用でき、軽油と同程度の粘度をもつメチルエステルの燃料噴霧、燃焼経過の観察を行い、燃料の粘度の違いによる影響を調査した。試験ではエンジンの燃料噴射、燃焼時の空気温度、圧力を模擬できる高温高圧容器を使用して、燃料の自由噴霧、燃焼の高速度写真撮影を行った。
5・1・1 高温高圧容器の概要
高温高圧容器の構造を図5・1に示す。図に示すように、高温高圧容器は、円筒形で、圧力は外部からの高圧空気の充填により、温度は容器内部に取付けられた電気ヒーターによってそれぞれ昇圧、昇温され、エンジンの圧縮上死点付近の温度圧力を任意に設定できる。特に、空気温度に関しては遮熱エンジンに相当する1123K以上に設定可能である。さらに、照明に銅蒸気レーザーを使用したシャドウグラフ法の光学系および燃料噴射ノズル、噴射ポンプがそれぞれ付加されている。燃料は、モーターで駆動される燃料噴射ポンプから高温容器の中心に向かって噴射される。