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表:業界インタビューで聞かれた韓国の大型エンジン業界の問題点・課題

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資料:業界インタビュー(日本・韓国)

 

(8) 日本製品との競争激化の可能性

日韓間では大型エンジン貿易は、1)ライセンサーとの販売テリトリー契約による制約、2)両国の造船所とも自社製エンジンの搭載を望む、3)韓国の対日輸入制限により日本製大型エンジンの輸入ができない、といった理由のため、原則的に不可能である。このうち、3)は1999年に「輸入先多辺化政策」が完全撤廃され、制度上、日本からの輸出が可能になったが、特に、テリトリー制の存在のため、依然として両国間での大型エンジン本体の輸出入は難しい。このように、両国の大型エンジン市場は相手国製品から保護されたかたちとなっている。

しかしながら、今後、日韓間で生産コスト格差が続いた場合、新造船分野での競争力確保の観点から日本の造船企業が部分的に韓国から大型エンジンを購入する事態が想定される。(あくまでも、国内生産品に対する価格圧力を念頭に置いた限定的な輸入の可能性があるというものである。まとまった量の大型エンジンを韓国から輸入することは想定しにくい。)また、テリトリー制の対象外である台湾を始めとした東南アジア市場で、日本製品がますます劣勢に追い込まれる可能性もある。さらに、今後、新造船市場が停滞局面に陥った場合、韓国国内造船所向け需要の停滞を受け、韓国のエンジン企業が輸出攻勢を掛ける可能性もある。

 

 

 

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