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(7) 韓国の大型エンジン業界の強みと問題点・課題

韓国の大型エンジンの品質は、日本と比べ遜色なく、生産実績のあるエンジンであれば、日本の船主も忌避しない程度にまで信頼性は向上している(但し、重要部品については、日本製部品の使用を前提とする)。他方、価格については前述のように、韓国が優位に立っている。総合的に見て、大型エンジンの競争力は、韓国が日本を上回っていると見ることができる。このような韓国の強みの背景として、1)量産効果、2)人件費を始めとする要素価格の安さ、3)新しい生産設備、4)大型エンジン生産の経験蓄積などが指摘できる。

 

図:韓国の大型エンジン業界の競争力の背景

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他方、韓国の大型エンジン業界の問題点としては、業界インタビューでは表の点が指摘されている。韓国大型エンジン業界の問題点・課題に対する日韓の認識には全般的に大きな差異はない。但し、生産工程の混乱に関しては、韓国側では特に問題であるとは認識していない。

今後の韓国の大型エンジン業界を展望した場合、最大のリスクは、エンジン生産で十分な収益を獲得できない可能性がある点である。特に、HSDエンジンはエンジン専業メーカーであり、利益極大化以上に、大宇重工業・三星重工業に対する大型エンジン安定供給、韓国重工業との事業領域重複回避が重要視される上、合併後の混乱が続いているため、安定的な利益を上げられない可能性がある。

 

 

 

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