5. 軟体動物
島根県沿岸域に生息する代表的な軟体動物には、アオリイカ、コウイカ、ソデイカ、アワビ、サザエ、イワガキなどがいる。
アオリイカ:鰭が外套膜の側縁に沿って全体にあり、コウイカに似るが石灰質の甲はなく、幅の広い軟甲を持つ。外套長45cm位に成長し、北海道南部以南の日本全国に分布する。雄の外套膜の背中側には青白い横線模様があるが、雌ではこの模様が線のように長くなく点状になっている。
コウイカ:外套膜の筋肉内に舟状の石灰質の甲を持っている。この甲の後端には1個の棘がある。東京湾以西の日本全国に分布し外套長17.5cmに達し、体重600g位になる。触腕は普段は腕の中に折りたたまれているが、餌に出会うと瞬発的に伸長する。エビ類等の甲殻類を好む。
ソデイカ:外套膜は、筋肉質で厚く、鰭は外套膜側縁の全体に及び菱形を呈する。第3腕の保護膜は他腕に比べると著しく広いのが特徴である。外套長で80cmに達する大型種である。
アワビ:日本に生息するアワビの仲間には10種類あり、クロアワビ・エゾアワビ・マダカアワビ・メガイアワビ・トコブシ・フクトコブシの6種類が漁獲対象となっている。島根県では主にメガイアワビ・エゾアワビを漁獲している。
サザエ:サザエの形はにぎりこぶしのようで、独特の管状の角を出し、殻は硬く右巻きである。この角は波の荒い所では大きく、静かな所では小さかったり全くないものもある。産卵期は6〜9月で1個の親が直径0.2mm前後の卵を30〜80万粒産む。成長は1年で1cm、2年で2.5cm、3年で4cm前後になり、4年目頃から漁獲される。サザエはアワビと同様に夜行性で、食べるものも海藻類が主体である。
イワガキ:島根県でカキと言えば夏に食するイワガキのことで、冬によく食べるマガキのことではない。産卵期以前の卵や精巣のよく充実した物が美味で高価に取引される。
【資料】「原色魚類検索図鑑 I」 (株)北隆館 平成元年
社団法人 島根県水産振興協会へのヒアリング