6. 甲殻類
島根県沿岸域に生息する代表的な甲殻類には、ガザミ、ズワイガニ、タイワンガザミ、ヒラツメガニなどがいる。
ガザミ:『ワタリガニ』ともいう。水深20〜50mの内湾、浅海の砂底に生息し、産卵は5〜6月と8〜9月頃の2回産み、中には3回産む親もある。孵化するまで2〜3週間親が腹部に抱きかかえる。ガザミは、孵化してからゾエア・メガロパと言う幼生時期を経てから初めてカニの形をした稚ガニになり、大きくなるために脱皮を何回も繰り返す。孵化の早いもので秋には17cmとなり、ほぼ親と同じ大きさで翌年の春には産卵する。
ズワイガニ:クモガニ科の甲殻類。通常は200m前後の深層に生息し、冬期に浅場に移動する。雄は脱皮を繰り返し、甲幅15cm程になるが、雌は約8cm程で成熟し、1年間にわたり抱卵、ゾエア幼生を放すと再び抱卵する。
歩脚は左右に広げると70〜80cmに達する。体色は暗褐色か黄灰色、茹でると淡い橙色になる。産卵期は初産卵が6〜10月、2回以降が2〜3月、山陰では松葉ガニ、北陸では越前ガニと呼ばれ、底びき網、カニカゴで漁獲される。
タイワンガザミ:ガザミ、ジャニメガザミとともに刺網漁業で漁獲され、甲羅の色が暗紫でどぎついという特徴がある。
ヒラツメガニ:刺網、底びき網及び地引網漁業で漁獲され、ガザミに較べ小型であるが、最近空揚げの材料として珍重されるようになって需要が高まり水揚げされるようになった。甲羅にH型の模様があり、丸くて赤っぽいことで、他のカニ類とは明らかに区別できる。
【資料】「原色魚類検索図鑑 I」 (株)北隆館 平成元年
社団法人 島根県水産振興協会へのヒアリング