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それ以前はクドがあったが一番大きなクドは現在も残され、まつられている。またデノマのニワに子供部屋を設けたという。また主屋の背面には2階建ての建物を増築し、1階は浴室などで2階は子供部屋になっている。

現在、離れの2室のうち奥の部屋が当主の寝室に、ヘヤが息子夫妻の寝室となっている。

 

2) 若村宗助家

当家は村井新町、本町通に面している。西隣の若村貞家の分家であり、現在の当主で3代目である。現当主は、昔は群馬の伊勢崎の本家の店(砂糖屋)で丁稚として働いていた

敷地は間口7.5間、奥行23間で、主屋は切妻造平入桟瓦葺きのつし2階建てである。平面形態は、当家も農家に類似した平面であり喰違四間取である。この喰違いは建築当初からであるという。小椋家と同様日野で一般的な部屋の呼称となっている。主屋のダイドコロには掘り炬燵がある。ニワと呼ばれる土間部分に縁が1間弱突き出しており、ニワは雁行したようになっている。また門口を入り反対側に漬け物入れと呼ばれていた小室が設けられている。座敷であるオクノマは8畳で通り側から3:5の割合で床と仏壇が設けられているが、床の奥行きは半間で小椋家のように床の裏がデッドスペースにはなっていない。東側は増築により既存の屋根に対し垂直に屋根がかけられている。建築年代は不明である。部屋の境は差鴨居が用いられており、小屋は登梁組でつしも以前は使用していた。またつし中央部分に漆喰で塗り込められた部屋が1室あり、これは普段は衣類の収納などに、来客の際にはこの部屋を宿泊に使用したという。日野でつしが居室として使用されている例は珍しく興味深い。

主屋の奥には便所、髪結場が廊下によってつながれ、その奥には6・6・8畳の3室の離れが配され、庭をはさんで土蔵がある。離れの最奥の座敷には床が設けられている。これも日野においては一般的な屋敷取りであるといえる。

表構えについては、主屋の全面に板塀がまわり、門口の前には棟門があり、建具は板と格子の引き戸が設けられている。板塀には腰壁はなく、桟敷窓がついている。桟敷窓は格子がはめられており、塀と格子の桟はベンガラで着色されている。屋根の軒裏は白漆喰で塗り込められている。

 

3) 西岡章二家

当家は馬見岡綿向神社にも程近い西大路の南側つまり北に面している。建築年代については現当主の先々代が山田家から購入したために不明である。西岡家所有になってからは商売などはしていなかった。また以前は草葺き屋根であったという。またいくつか柱などの痕跡が見られ、かなり前に改造されているかもしれない。現在、主屋は梁行4間、桁行5間で、切妻造平入桟瓦葺のツシ2階で平面形式も整形四間取である。土間部分にそって、デノマ・ダイドコロ、その奥にオクノマとヘヤが配されており、部屋はすべて6畳である。

 

 

 

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