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Q104 カンブリア紀に普通に見られる化石はどのようなものですか?

Q104 プレカンブリア時代は、大変古い時代で、当時の記録も断片的にしか残っていないので復元にも想像に頼らなければならない点がたくさんありました。しかし古生代以降の地球の海陸の分布や環境については、地層の記録が世界のあちこちに比較的良く残っているため、かなり詳しいことがわかってきました。例えばカンブリア紀には6つの大きな大陸があり、いずれも赤道近くにあったことがわかっています。また、気候も一時的な寒冷期を除けば、全般的に温暖で、両極地方にも氷床は存在しなかったと考えられています。そのためカンブリア紀には、どの大陸も広い面積にわたって海水におおわれたと考えられています。この時代にはカンブリアの大爆発と呼ばれるように非常に多様な多細胞動物が生まれ、奇妙な化石も多く見られますが、数の上からは三葉虫、腕足類、そして古杯類が多細胞動物の主役でした。

 

Q105 腕足類というのはどんな生き物ですか?

A105 腕足類というのは、二枚の殻をもっていて外形的には二枚貝に似ているのですが、殻のなかには餌をとるための細かな繊毛の生えた螺旋状の、触手冠と呼ばれる器官をもった別系統の動物です。また殻の先端からは細長い肉質の器官が体の外へ突きだしていて、これで海底に固着して生活します。二枚の殻が蝶番でつながっていない無関節と類蝶番でつながっている有関節類の二つのグループにわけることができます。この二つのグループともに古生代に栄えましたが、中生代以降は衰退し、現在では細々と生き残っています。ウミホウズキの仲間が有関節類に含まれます。また、無関節類のシャミセンガイは九州の有明海などにたくさん住んでいて、みそ汁の具として利用されています。

 

Q106 古杯類とはどんな生き物ですか?

A106 古杯類は、逆円錐型、つまりコップや杯(さかずき)のような形をした殻をもった底生動物です。杯は二層構造をしています。つまり、杯の外側と内側を作る二つの壁があり、その間には隙間があいています。絶滅してしまったのでどのような動物だったのか詳しくはわからないのですが、杯の外側の壁にも小さな穴がたくさんあいていて、おそらくこの小さな穴を通り抜ける水の中に含まれる微細な食物の粒を濾過して食べていたカイメンのような生活をしていた生き物だろうと考えられています。

 

 

 

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