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イギリス ロンドン 大英博物館(自然史)

アメリカ合衆国 ニューヨーク アメリカ自然史博物館

アメリカ合衆国 ワシントンD.C. スミソニアン研究所国立自然史博物館

オーストリア ウィーン 国立自然史博物館

フランス パリ 国立自然史博物館

 

わが国のものは東京上野の国立科学博物館に多くが保存展示されている。大英博物館より出されている隕石カタログに、どこの博物館にどんな隕石が何グラム保存されているという記録が集められている。アメリカ自然史博物館は恐竜の骨格標本で有名で子供に人気があるが、世界で2番目に大きな31トンの鉄隕石もある。グリーンランドより船で運ばれてきた。上に挙げた5大博物館には、長期滞在を含め、既に訪問、取材したことがあるので、1998年はカナダのトロントにあるローヤル・オンタリオ博物館を、1999年はフランス・パリの国立自然史博物館での取材を行った。

1974年と1979年には南極隕石が大量に回収され、隕石研究の中心は、南極隕石を保管している国立極地研究所や、NASAジョンソン宇宙センターに移っている。日本でも国立極地研究所より試料が得られるようになり、隕石の研究が盛んになった。アメリカ合衆国でも南極隕石作業委員会が配布を行っている。その後ヨーロッパのヨーロメット委員会も加わり、この方面の研究に大きな貢献をしている。どうして南極に隕石が集っている所があるかについても、明らかにされている。

 

Q3 始原的物質の化学組成はどんなものであったか?

A3 太陽系の平均化学組成は、元素の宇宙存在度と言われている。これは太陽外縁大気の化学組成と炭素質コンドライトのうち最も原始的なものの化学組成の両方から推定されている。アンダースとエビハラにより提示されている元素の宇宙存在度が良く用いられている。元素の宇宙存在度は、ケイ素を1×106個とした時、それぞれの元素が何個あるかという値で示されている。

この元素の宇宙存在度の表をみてわかることは、太陽系をつくる主要元素は気相で存在するものを除き、隕石や地球でよくみられる造岩鉱物の主要構成元素である。そのベスト10をあげれば酸素、マグネシウム、珪素、鉄、硫黄、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、ニッケルおよびクロムである。これらの元素のうち硫黄、ニッケル、クロムを除き、太陽系内の種々の温度、圧力、酸素分圧の条件のもとに保てば、できてくる固体無機物質は主に3種の鉱物となる。

これらの鉱物のうち、あるものは高温状態で結晶成長してできたものであるが、低温で水の存在する条件のもとで合成されれば別の鉱物となるものもある。いずれにしても、その鉱物の存在状態は別として、炭素質コンドライトに近い元素の宇宙存在度をもつ物質を原始的物質とよび、太陽系における物質進化度ゼロの物質と考える。宇宙化学、地球化学ではコンドライト的組織をもつかどうかにかかわりなく、このような物質をコンドライト的物質とよぶことがある。もっとも始原的な物質である。

 

 

 

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