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I 物理・科学関連システム

 

A 地球外物資から探る

 

Q1 地球外から石が降ってくるということを人類がどのようにして知ったか?

A1 人類は地球表面に住居して文化を発達させて来たので、地球外にどのような物質があるかを認識し出したのはそう遠い昔ではない。天文学者は地球から望遠鏡で地球外の天体を観測して来たが、それがどのような物質でできているかを知るようになったのも最近のことである。ガリレオがイタリアのパードバという小さな大学町の搭から月を観測して、そこに海と高地があるということを見つけたのはルネッサンスが始った頃にさかのぼる。

1969年から始まった月探査で、この月の海と高地より試料が持ち帰られ、地球外の天体について、その来た所がわかった物質を直接研究できるようになったのは、人類にとって歴史的なイベントである。しかし、それ以前より人類は地球外の物質を手にしており、太陽系の始原的な物質がどんなものであるかについては、かなり正確な知識をもっていた。これは隕石と呼ばれる物質の研究によるものである。この隕石研究の歴史の上でも、1969年は特別の年であった。アポロ11号が月に着陸したより以前に、メキシコのアエンデ村に大量の炭素質コンドライトという種類の隕石が落下した。この年の暮の12月には日本南極観測隊が南極のやまと山脈近くで、9個の隕石を発見している。これらの試料はその後の惑星探査の発展とともに、この30年間の地球外物質の研究に質的な変化をもたらした。

人類がこの隕石という物質が地球外から来たということを、認知したのはいつ頃であったのだろう。実は日本にその最古の記録と物質が残されていたが、人類の歴史に大きな影響は残さなかった。西欧での出来事の方が科学の歴史に影響を与えた。地球外の物質が、地球に落ちてくることが西欧の歴史で認められるようになったのは、15世紀にまでさかのぼる。1492年11月7日フランスのアルザスはエンシスハイム(Ensisheim)に127Kgの隕石が落下した。この様子が人々に目撃されて、人類に認知された最初の天からの落下物となった。落下の様子を示す絵と詳しい記録が残されている。この古い中世の町にその隕石は今でも保存されている。隕石落下の際、大気との摩擦で光を発し、雷のような音がする。この高温で表面が溶けた部分が黒い皮殻として表面をおおっている。日本の例は861年5月19日に福岡県の直方市に落下した0.472kgの隕石が、記録のある箱に入れられ神社に保管されていた。

 

Q2 隕石はどこの博物館に多く保存されているのか?

A2 1969年以前の地球外物質の研究は、主に博物館に保存されていた隕石についてなされた。もっとも完備された隕石標本は、以下に列記する博物館に保存されている。

 

 

 

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