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感想

水上知子(聖マリアンナ医科大学医学部4年)

 

私は中学・高校時代に、何人かの仲間と一緒にインドで里親活動を行っているNGOに参加して、学費を払うことができない学生に仲間でお金を出し合って学費を送る活動をしていた。医学生となった今、将来医師として、どのようにこうした人達と関わっていけるかという事と実際に日本のNGOやGOが現地でどのような活動をし、どのような評価を受けているのかを知りたいと思っていた。そこで見つけたのがこの国際保健協力フィールドワーク・フェローシップである。ここで私は自分が予想していたよりもさらに多くの事を学ぶことができた。

今まで私の中では、国際医療協力というと災害時の緊急援助やシュバイツアー型の援助のイメージが大きな位置を占めていた。しかし、このフェローシップに参加してみて感じたことは、私達外国人が直接現地人に医療行為を行うよりも、専門家達による現地人の人材育成や技術供与などの現地人が現地人の為に行う医療を作り上げたり、サポートする形のものが一般的であるということだ。私達外国人が現地人にいかに良い医療行為を行っても、やはりそれはその場しのぎであり、現地人の医療従事者育成や、その為の環境を作ることが一番効果のある国際医療協力だと感じた。個人だけを相手にするのではなく、コミュニティー、そして国を対象とする公衆衛生的な協力の方が、国際協力においては大きな意味を持つということを学ぶ事ができて、私の国際協力に対する見方が広がったように思う。私は恥ずかしながら、今まで医療というと臨床ばかりで公衆衛生の意味を深く考えた事がなかった。

今回のフェローシップでは、フィリピンの医療行政の1番上のレベルから末端のレベルまでの訪門を通して公衆衛生の対象、目的、意味等が自分で見たり聞いたりする事によって感じ取る事ができたと思う。公衆衛生では臨床のように、ある個人の傷や病気を治すといった限定された範囲での効果ではなく、コミュニティーや国全体といった大きな範囲での効果をねらっているので、普段意識されることが少ないだけで非常に重要なものであると感じた。この事は、将来私が臨床と公衆衛生のどちらをを選択するにしても大きな助けになると思う。

また、今回のフェローシップでは、日本やフィリピン、そして、その他の国の人とコミュニケーションを取る事ができて良かった。WHOの職員の人、パヤタスのゴミ山で暮らす人、フィリピンのバランガイに暮らす人、フィリピン大学の学生、JICAの職員の人、日本の他大学の学生など数え挙げれば本当にきりがないくらいだ。彼らと色々な話ができたことは私にとって何よりも貴重な体験であった。そして、私と同じ学生という立場にありながら多くの知識と情報を持ち、かつ活動的なこのフェローシップの参加者に本当に多くの事を学ばせてもらった。

最後にこのような機会を与えてくださった関係者の皆さんと、参加者の皆さんに心から感謝申し上げます。

 

 

 

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