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I am a human being

金川俊哉(徳島大学医学部5年)

 

「人の命は平等ではない」この言葉を、時に思い出し、時に考えてきた。しかし、この言葉をこれほど実感したことは、今回のフィールドワークを経験するまでなかった。マニラはアジアのなかで危険度レベル1の治安の悪い都市であるが、日本の多くの中小都市に比べると、遥かに近代的な都市である。しかし、その影にはスラムがあり、ストリートチルドレンが俳個している。パヤタスでは「人はゴミ山の近くで産まれ、死ねばゴミと同じになる。ゴミ山では人の命は安い。」という言葉を聞いた。平凡な日本人である私にとってその言葉はものすごい衝撃であった。ロビンソンショッピングセンターを歩きながらパヤタスのことを考え、この強烈な社会階層の格差を考え、少しイライラしてしまった。人の命は国や地域、社会的階層により異なる。これはある意味当然なことなのかもしれないが、過酷な現実を目の当りにして、そういうものだと簡単には納得ができなかった。マニラの中産階級以上の人々は、スモーキーマウンテンをマニラの恥部と呼ぶ。しかし、そのスモーキーマウンテンの状況を、マニラの多くの人は知識としては知っていても、実際に見に行き、本当の意味で理解している人は少ないだろう。自国の問題を知ってはいても、それは以前よりあった問題なので、慣れてしまい、その重大さを認識できずにいる。このギャップを国際協力を通して埋める事ができれば良いと考えるのだが。

私は今まで、漠然と国際協力に興味を持っていたが、特に何をする訳でもなく、漫然と学生生活を過ごしてきた。しかし、このFFに参加する事で、全国の学生と知り合うことができ、国際保健や医療協力に興味を持ち、その仕事に就くことを本気で考え、実践している人に出会えた。様々な価値観を持ち、互いに尊重するが、自分の意見は意見としてはっきりと述べる。漫然と過ごす学生生活では得難い友人である。このFFを通して、多くの仲間ができたことは、私にとって非常に大きな財産になった。そして、この経験をどう生かすかは、自分次第である。私は今後、本当に国際協力関係の仕事に就くかどうかは分らないが、1つの選択肢になった事は確かである。自分は今、何を成すべきか、これから何をしたいのか、5年の夏というまだ時間のあるときに多くの物を見、様々な人々と知り合え、本当に貴重な体験となった。

最後になりましたが、リーダーの江副くん、サブリーダーの堀さん、会計の梶村さん、波戸くん、本当にご苦労様でした。バブ先生、松本さん、泉さん、他のみんなもありがとうございました、このFFは私にとって、大いなる財産となりました。

 

 

 

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