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11日間毎日が刺激的だった

谷口智宏(東北大学医学部5年)

 

初日、国立国際医療センターに行って、今回のフェローシップに応募した人数の多さに驚いた。私の大学では国際保健に関心のある学生は周りにほとんどおらず、自分のマイナーさを感じていたが、全国にはこんなにも国際保健に関心のある学生がいたとは。さらに参加者の名簿を見ると多くの人が何らかの国際保健に関する活動に携わっていた。私はといえば大学祭やバザーなどで単発の活動をしたことはあるものの、普段は国際保健に関する活動は何もしていない。旅行が好きで、休みになるとバックパックを担いで旅行に出かけるうちに、国際保健に興味を持ち始め、今回、大学の掲示板に貼ってあったフェローシップ募集要項をたまたま見て、面白そうだなあと思い応募した。参加したメンバーと11日間共に過ごし、みんなの知識や取り組む姿勢にはいつも感心させられ、見習うところが多かった。

11日間のプログラムは大変充実しており、素晴らしい機会の連続であった。私の勉強不足もあって、次から次へと入ってくる情報の全てを吸収することはできなかったが、様々な問題提起と刺激を与えられた。中でもUPの学生たちと仲良くなれたことは大きな喜びであった。彼らがいかによく勉強し、ハードな実習と試験をこなし、英語にも堪能であるかがよく分かった。お互い学生同士なので気楽に接することができ、彼らが忙しい中、私たちに会う時間をつくってくれとても感謝している。

いくつかの病院や施設を見学したが、最も心に残っているのは何といってもパヤタスである。なぜあんな所に人が住んでいるのか、なぜあそこにゴミが貯まり続けるのか。ゴミの山からの帰り、山のすぐ隣に建っている家の子供たちが、私たちに向かって「バイバーイ」と嬉しそうに手を振り、見えなくなるまで見送ってくれたのが目に焼き付いている。

Tarlacで特に感じたことだが、外国のフィールドで臨床医として働くのは難しく、公衆衛生的なアプローチにならざるをえない。それでも私は将来的には途上国の現場で医師として働きたいと思っている。外国人だからこそ気づくこと、できることが何かあるのではないか。将来の進路に関しては明確な一本の道は依然見えないが、学生としては当然であろう。国際保健にすぐに関わることは難しいが、情報をキャッチするアンテナは常に張り巡らせておくつもりである。

国際保健という同じ興味を持ち、共通の体験をした14人の仲間ができたことが、一番の収穫であったと思う。今回のフェローシップで出会ったすべての人に感謝したい。人との出会いは素晴らしい。

 

 

 

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