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国際保健協力フェローシツプ・フィールドワークに参加して

林志光(筑波大学医学専門学群6年)

 

「2020年の日本の未来を心配している人?」と指導専門家のBarua先生が質問する。4、5人の海外研修参加者が手を挙げた。「2020年の日本がそうならないために、自分はどうすればいいと考えた人?」再び質問が続く。参加者全員が静かなままで、誰一人手を挙げることができない。

考えに考え、すでに存在しているものの中で、より良いものを選び出すことは容易ではない。しかし、より良いものを新たに作り出すことはもっと困難であろう。その人しかできないcreativeな発想力が必要だからである。国際保健のフィールドでは、様々な保健開発プロジェクトが行われ、様々な困難に直面することがある。問題分析を入念にし、ある対策から最も良いものを選べる洞察力と決断力は勿論大事であるが、ゼロから対策プロジェクトを生み出すセンスが必要であろう。そのために規定な概念に囚われず、柔軟かつ独創的な発想ができる決断力をもつ実力者がいる。そして、その対策を実行に移していける仲間も必要である。今回のフィールドワーク・フェローシップで、将来一緒に働いていける仲間と出会えて、大変喜ばしいものであった。

昨年、AIDS末期患者のホスピス、マラリア・ハンセン病の臨妹及び対策を勉強テーマに、大学の熱帯医学研究会のスタディツアーの代表として、主催する機会に恵まれた。その時に多人数のグループでうまく行動することで、考えの広さと奥行きが増すことを学んだ。同時に知識や経験やバックグランドの違い故に、チームとして行動することの難しさも実感した。一つのチーム内で引っ張っていく人、業務をこなす人、アイデアを出す人、Ice breakerなど様々な性格の人間が様々の役割を演じる。今回のフェローシップのチームもきっとそうだったに違いないが、私としては自分の役割に固執することなく、力むことなしにチームが当たり前のように目的へと進んでいく居心地のよさを初めて感じた。よほどいい仲間とめぐり合えた気がする。皆さんに大変感謝している。

フィリピンを訪ねるのは2回目となる。前回は1997年アジア医学生会議の参加者の一員として、色々な人たちからよい刺激を受けることができた。今回は素敵な仲間達にめぐり合うことができた。この場をお借りして、このすばらしい機会を与えてくれた笹川記念保健協力財団に感謝の意を申し上げます。

 

 

 

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