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フィリピンでもらったもの

土屋菜歩(旭川医科大学医学部4年)

 

フィリピンから帰って1ヶ月、その印象は薄れるどころかますます強いものとなり、見聞きしたもの、出会ったたくさんの人々について思いをめぐらせる日々が続いている。

研修に参加する前、国際保健、WHO、JICA、NGOといった言葉は私の中でまだもやもやしたあいまいなものだった。どんな人たちがどんなことを思ってどのように働いているのか知りたい、大好きな東南アジアとその国に住む人達が何を必要としていて、自分にどんな関わり方ができるか考えたい、と期待を胸に臨んだが、研修で得たものは期待以上に大きなものだった。

もっとも強く感じたのは、「想像力」の大切さである。WHOという大きな枠組みを作る機関でも、JICAやNGOなど草の根レベルで活動する機関でも、想像力が豊かでないと、その地域に根付く、実りある活動はできないのではないだろうか。例えば機械一つ送るにしても、村人が使えるようになるのか、メンテナンスは続けていけるか、先の先まで考えないと、せっかくの機械も埃にまみれてしまう。人対人でも同じだ。相手の文化、社会などにも目を向け、自分が相手に言ったりしたりすることが、相手にどんな影響を与えるのか常に考えていないと、国際協力も方的で長続きしないものになってしまう。国際協力のみならず、普段の人間関係にも必要不可欠なものだと思う。

今回お会いした中で、特に生き生きと魅力的に見えた方々がそろって口にされる言葉があった。「好きなことだから続けられる」。うまくいくことばかりではないし、さまざまなジレンマを抱えて仕事をされているのだろうが、それを乗り越えていくエネルギーは、「好き」だからこそ尽きないのだろう。頭の中だけであれこれ考えて臆病になっていた私の背中を、先生方やスタッフのみなさんがぽんと押してくれた気がする。そのとき自分の番好きなこと、やりたいことを信じていたい。たくさんの出会いの中からいろんなことを吸収して、自分の肥やしにしたい。そして私もどこかで、誰かの肥やしになれたらなと思うのだ。

こんな素晴らしい機会を与えてくださった関係者の皆さん、フィリピンで出会ったたくさんの方々、道中温かく見守ってくださったバブ先生、周子さん、松本さん、山田さん、これからも長い付き合いになりそうなメンバーのみんな、心から感謝しています。本当にありがとうございました。

 

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夜のミーティング終了

やっとホッとした面々。リラックスした時間の一コマ

 

 

 

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