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実は、前に述べたことと少し矛盾することになるかもしれませんが、ストレスとは生体への有害な刺激と説明しましたが、精神的な負担になるものという点からいうと、必ずしも悪いことばかりがストレスとなるわけではありません。コレステロールに善玉コレステロールと悪玉コレステロールがあるといわれるような、善玉ストレス、悪玉ストレスといったいいストレス、悪いストレスという考え方はしません。いいことでもストレス−精神的負担になることがあると考えるのが自然のように思えます。もちろん、一般的にはよくないことの方が、ストレス要因として多いのは当然です。

そういう目で表3を見ると、この表は配偶者の死を100として以下数字でストレスの強さを示したものです。直接職場と関係のない事柄も含まれています。一つ一つの項目の説明はしませんが、何となく分かるという感じは持てるでしょう。そして、この中に結婚、優れた個人の業績、休暇、クリスマスなど、普通に考えればおめでたいこと、うれしいこと、楽しいことなど、いいことが入っていることに注目してください。なぜそれがストレスなのかと思う人もいるでしょうし、うんうんとうなずかれる人もいるでしょう。感じ方は人によって様々ですから特に注釈け加えませんが、これもストレスなのだということを理解してください。

同じような調査は、日本の先生方がされて表に示されているものもあります。何かの機会にご覧になることがあるかもしれませんが、その中にも結婚とか職場での昇進とか昇格というような項目が入っています。

ストレスの感じ方はそれぞれによって大きく違います。ある人がストレスと感じても他の人はそう感じなかったりすることはよくあることです。ただ、それをストレスに強い人、弱い人というふうに単純に分けてしまっていいのかについては問題も残るでしょう。

今までに述べたことを基にして、職場ではどんなことがストレスになるのか、ストレスが過重になるとどんなことが起こるのか、またそれに対して職場としてどう考えどう取り組んで行けばいいのかなどについて考えてみることにしたいと思います。

 

 

 

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