日本財団 図書館


もちろん日常生活においては、確かにこのような感じ方、考え方は大切だと思われます。しかし、常に「対等」を心掛ける相談場面においては、必ずしも適切だとは限りません。

また共感は同一化とも違います。共感とは一つになることではなくて、別の二つが全身で浸透しあった状態をさします。人が何かを選択し、行動する背景には、その人なりのワケがあります。そのワケのことを、ロジャーズは、「内的準拠枠」と呼びました。相手の内的準拠枠を理解しようとしなければ、話し合いは往々にしてすれ違いに終わります。つまり共感とは、自分の中の価値判断を押し付けて相手と一つになることではなく、自分は自分、相手は相手の内的準拠枠を二つながら大切にするということです。

そして彼は、「この態度3条件は、自分が自分をいとおしく思うという大前提がなければ決して身につかない」ともしました。

3] ポーターの5つの態度(ガイダンス)について

つぎにE.H.ポーターによる5つの態度(ガイダンス)について述べてみたいと思います。ポーターは話をきく態度は次の5つに分けられるとしました。理解を得やすくするために、子供の不登校に悩む母親に対する典型的な応答例を列挙してみました。それぞれの応答に対して感じる自分の気持ちに注目して、その違いを比較検討してみてください。

 

058-1.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION