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作曲家・作品紹介

Profile of Composers/Descriptions

 

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金禧卿

転倒の後で

 

韓国生まれである金氏はソウル国立大学にて作曲の分野で文学士を習得し、カリフォルニア大学バークレー校にて文学修士と博士号を修得する。バークレー校のGeorge C.Ladd Prix de Parisの受賞者として、1988年から90年にかけて、IRCAMとパリの高等師範学校に務める。

《転倒の後で》は、クラリネット奏者のジョン・サケットとバスクラリネット奏者のピーター・ジョセフのために書かれている。音楽は、身体と精神の状態を映し出すものである。精神は長く辛い苦しみの果てに強くなっていくものである。眠れない夜に、二つの旋律が互いに相手の旋律に打ち勝とうと競い合っている。一つの旋律は身体をくつろがせようとする一方で、もう一つの旋律は身体を奮い立たせようとする。二つの旋律は、あたかも精神を支配するかのように身体の上に降りかかる。ついには、精神に身体が付き従うことになる。精神の長く辛い苦しみの果てに、神は光を見せてくれるのだ。

 

KIM Hi Kyung

After the Fall

 

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J.マセダ

シアシド―竹のソフトウェア

 

1917年1月31日マニラで生まれる。パリではA・コルトー、サンフランシスコではE・ロバート・シュミッツの指導の下、コンサートピアニストとして早くからの経歴をもつ。50年代、アメリカにおいて民俗音楽を学び、その後数十年間アジア音楽のフィールドワークに傾倒した。

ミンダナオ島のTirurayの発声法であるシアシドは、弦楽器、吹奏楽器、竹琴、または、竹製トロンボーンや竹製パーカッションなどの系統の音色に変化し、様々な音色や低音や音程の変化を作り出している。10個のトロンボーンを用いれば、旋律は3、4、5個のトロンボーンから最終的には10個のトロンボーンヘと徐々に移行していくことができる。12個のパーカッションを用いれば、3,4個のパーカッションでだせる厚みのない音色も、10や12個のパーカッションで、これだけ多いからこそだせる厚みのある音色も作り出すことができる。また、竹製パーカッションの代わりに、オーケストラのパーカッションを用いれば、他の音色を作り出すこともできる。このような数種の楽器による旋律の分業は、アジアでの農業や儀式における社会慣習である分業を映し出していると言える。

 

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