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マレイシア工科大学沿岸海洋工学研究所における国際協力

在マレイシアJICA専門家

馬場典夫

 

1. 背景

マレイシアは海洋国家という認識のもと、付属海域からの最大限の利益と海洋資源を得るための海上活動を重点とした国家方針を表明し、海洋法条約による200海里排他的経済水域の施行と、再生できない陸上資源が消耗する中で、政府は特に沿岸資源の開発、管理及び統制並びに領海内における国内・国際航海に関する規則を管理することを任されている。このような目的を達成するためには、取得に多大な時間と経費を要する海洋データの滅失・毀損を防止し一元的に適切な管理を行う国立海洋データセンター(National Oceanographic Data Center; NODC)の設立が急務であることから、マレイシア政府はこの分野において豊富な実績と技術を保有する我が国へ長期専門家の派遣を要請したものである。

 

2. 国立海洋データセンター

国立海洋データセンターは、1961年にUNESCOの政府間海洋学委員会(International Oceanographic Committee; IOC)が、加盟国間の海洋データ及び情報の有効活用を図るために設けた国際海洋データ情報交換システム(International Oceanographic Data & Information Exchange; IODE)の重要な構成要素であり、各国における海洋データの一元的管理を行う海洋データバンクとして機能するとともに、国際的な海洋データ及び情報の交換窓口として活動しており、我が国では1965年、海上保安庁水路部に海洋資料センター(日本海洋データセンターの前進)として設置され、1979年には、西太平洋域のデータ管理について責任を持つ責任国立海洋データセンター(Responsible National Oceanographic Data Center for WESTPAC; RNODC-WESTPAC)として位置付けられた。

これまでにIOC加盟国128カ国で65のデータセンターが設立されているが、東南アジア海域では、残念ながらフィリピン、ヴィエトナムを除く国々では、長年、設立が検討されてきているが、未だ設立に至っていない。

 

 

 

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