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3. マレイシアにおける海洋調査活動

マレイシアでの科学技術行政の中核は、科学技術環境省(Ministry of Science, Technology and the Environment; MOSTE)で、産業技術を含め、科学技術全般にわたる政策の企画、立案、実施、調整を担当しており、IOCや国際学術連合(ICSU)の担当省でもある。MOSTEには海洋調査研究に関連する機関として、マレイシアリモートセンシングセンター(MACRES)、マレイシア原子力技術研究所(MINT)、環境局(DOE)、気象局などがある。気象局は日本の気象庁と異なり海洋観測は実施していないが、World Weather WatchのGTS回線から得られるデータを利用して周辺海域の波浪予測を行っている。農業省には水産局及び水産研究所があり、マレイシア半島東岸のクアラ・トレンガヌに、国際機関である東南アジア漁業開発センター(Southeast Asian Fisheries Development Center; SEAFDEC)の海洋水産資源開発管理局がある。土地地域開発省測量局では、マレイシア沿岸に験潮所を設け、潮汐の観測を行っている。マレイシアでの海洋調査研究の中心は、大学が担っているが、沖合いでの観測設備が乏しく、沿岸域における調査研究が主体となっている。海洋調査研究を行っている大学は、プトラ大学(UPM)、マレイシア理科大学(USM)、マラヤ大学(UM)、マレイシア国民大学(UKM)、マレイシア工科大学(UTM)、サバ大学(UMS)、サラワク大学(UNIMAS)などである。マレイシア海軍水路部はマレイシア周辺の水路測量を実施しており、潮汐表の刊行を行っている他、マレイシア最大の海洋調査船K.D.Perantau(2,025t)を保有している。マレイシアの海洋調査船はこのほかUPMやSEAFDECが保有しているが、40フィート以下の小型船がほとんどである。また、マレイシア石油開発公社のPETRONASやシェル石油などが南シナ海の資源開発のために多くの海洋調査を実施しており、特にPETRONASは南シナ海に海況のモニタリングステーションを設けている。マレイシアでは日本のような定常観測は少なく、プロジェクト毎の海洋観測がほとんどである。

マレイシアでは、国内における海洋調査研究活動の効果的な実施、各機関の協力、最新の技術や知識の共有を図るため、MOSTEのもとに国内の関係省庁や大学、更に民間企業等の海洋調査研究機関の代表者から構成される海洋調査調整委員会を設置し、年に1〜2回会議を開催している。

 

 

 

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