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流石に壮大であった。その後、長崎研究所に移動し、二つのグループに分かれて内燃機実験棟ではクリーンエンジン技術の紹介、耐航性水槽ではFPSOの実験、メガフロート実験などを見学し、構造強度実験棟では船舶の衝突・座礁の研究の紹介を受けテクニカルビジットを終えた。その後、香焼工場内の長浜桟橋から「やまぶき丸」にて、伊王島、長崎港沖、長崎港のコースでビールなどを飲みながらサンセットクルーズを行った。海から見る長崎市街の夜景の美しさは印象深いものがあり、また会議3日目ともなると会議の緊張も解け、知り合った人同士の会話が弾んでいた。

(5) 晩餐会(10月5日)

午後7時より長崎プリンスホテルにて来賓・参加者・同伴者を含め約280名の晩餐会を開催した。組織委員長吉田教授による歓迎挨拶、ISSC 2000理事会議長の大坪教授の歓迎および会議メンバーに対する協力の謝辞が述べられた後、今期をもって退任する5名の理事による鏡割が行われた(写真4)。今期で退任する理事を代表して第10回会議議長でありISSC活動を常にリードしてきたデンマーク工科大学のP. T. Pedersen教授の乾杯の後、フランス料理フルコースの晩餐となった。アトラクションとして紋付羽織袴姿の井上清委員(日立造船)による尺八演奏「岩清水」、地元長崎の踊手による日本舞踊「長崎ぶらぶら節」などが行われた後、次期開催国である米国を代表し、ISSC 2003理事会議長A. Mansour教授(カリフォルニア大学バークレイ校)が、次期会議への抱負と挨拶を述べた。フィナーレも日本調で天草地方の「西方小天狗」による和太鼓演奏であったが、イタリア人を中心にヨーロッパの参会者から繰り返しアンコールが求められ、予定時間を約1時間オーバーして10時30分の閉宴となった。参加者からの唯一の苦情はヨーロッパの晩餐会のように「深夜まで、懇談できなかったのが残念」というものであり、参加者の親交を大いに深める場となった。

 

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写真4 晩餐会における鏡割

 

(6)同伴者ツアー(10月2〜5日)

会議出席者の同伴者の方々向けに、会議初日から5日までの4日間に長崎と佐賀の名所旧跡を観光しながら日本の文化に触れて頂くためにオプショナルツアーを計画した。日本からも大坪議長夫人をはじめ7名の参加者があり、外国からの同伴者の方々と親交を深めることができた。

1] 長崎市内観光(10月2日)

午前の最初の見学地は原爆資料館。被爆した教会の側壁、遺品の数々、溶けたガラス瓶や記録写真、爆弾の模型などを大変に熱心に展示を見学。その後、平和記念像を見て昼食。午後にロープウェイで稲佐山の展望台に上がり、曇り空ではあったが港や街の地形がはっきり見え360度のパノラマを楽しんだ。

2] 有田ツアー(10月3日)

青空の下、バスは有田町の柿右衛門の窯元へ向かい、伝統的な花鳥文や草花の作品を熱心に見学した。香蘭社本店など焼き物の店が軒を連ねる町を歩き、焼きレンガ塀の路地を散策した。午後に深川製磁を訪ね、モダンな作品もあるギャラリーを見学し、きれいな食器をいつまでも眺めていたいと思う女性の気持ちは、世界共通のようだ。最後の見学地の陽光美術館と茶畑を借景にした美しい日本庭園である慧洲園を訪ねた。秋晴れの良い一日だった(写真5)。

 

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写真5 有田における同伴者ツアーの一コマ

 

3] 長崎アラカルト(10月4日)

長崎市内の通訳ボランティアの協力を得て、観光コースA(出島史跡関係、一力、眼鏡橋)、観光コースB(大浦天主堂、グラバー園、孔子廟、一力)、買い物コースの3コースを設定し、希望するコースを選んでもらうこととした。人気があったのはAコースとBコースであった。

通訳ボランティアの方々の案内で市電に乗って市内見学を楽しんだ。Aコースの出島方面とBコース大浦天主堂方面の2コースに分かれ、上述の名所旧跡を見学した。昼食は名物卓祇料理、午後に興福寺を訪ね、帰路の途中、おくんちの出し物行列に出会いしばし足を止めて見学した。

 

 

 

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