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最初はちょっと不思議な病院だなと思ったけど、看護婦さんも先生もやさしそうで安心しました。おばあちゃがピースハウスを気に入った様子を見てお父さんもお母さんも安心したようです。

 

薬剤師さんに会う

 

今日はおばあちゃのお見舞いに行きました。駅前に停まっている「ピースハウス病院」と書かれたシャトルバスのそばに立つと、自動ドアが開いて「こんにちは、どうぞ」と運転手のおじさんが笑顔で迎えてくれました。このバスはボランティアのおじさんが運転しているのだそうです。

病室にはもうお母さんが来ていました。三人で話していると、薬剤師さんが入ってきて、おばあちゃ、だけでなく私たちにもわかりやすいように病気とお薬の話をしてくれました。薬剤師さんの明るい声に、堅くなっていた私たちも、ゆったりしてきました。

頭が痛かったり、歯が痛いとき、痛み止めをのめばすぐよくなるのに、おばあちゃの痛いのがずーっと続いているのはどうしてかなと思っていたら、痛みのおこり方や痛みの種類もいろいろあることがわかりました。それに合わせてお薬をきちんとのめば、おばあちゃの痛いのもとれるのかなと思いました。

でも、おばあちゃは痛みを止めてくれるというモルヒネ水にちょっぴり不安げです。

「体の中には、この水薬と同じ仲間が痛みを抑えるのに働いているのですが、体の痛みが強い時には、体の中の分ではまかないきれないので、外から補ってあげなければならないのです。お体に合った薬の量を決めていきましょう。

ですから、痛いときは“痛い”と言ってくださいね」

痛みに合った薬の種類、量が大切なんだとみんなで少しずつわかってきました。おばあちゃ好みにしてくれたモルヒネ水の味、梅ゼリーのようなお薬、みんな効いてくれるといいなーと思いました。

 

ある日のお見舞い

 

緑のトンネルが続く長い坂を登り急カーブを曲がると、すぐにピースハウスの白い看板が見えます。芝の小山に挟まれた先に玄関があります。

大きな木の扉を力いっぱいあけると、正面には二階に上がる階段と、手前に明るい色の絨毯の広いロビーが広がっています。

このロビーに入るとおばあちゃの優しいにおいがするようで、とっても安心します。入り口の左手に受付があり、お母さんより先に背伸びをしながらカウンターのノートに自分の名前を書きます。お姉さんがニコニコしながらやさしくお話ししてくれます。

「わー偉い!自分で手続きができるんだ」。今日はおばあちゃのお見舞いに来ました。得意になって説明します。お母さんは、お世話になっているお礼を伝えながら、少しも待てずにおばあちゃの容態が変わっていないか、お姉さんに聞きます。今日も元気でお話ししてくれるかな。二人の名前を書き終わって、急いで病室に向かいます。

 

出会い

 

入院する前の暗い表情がすっかり消えて、ここに来てからのおばあちゃは、病気であることを忘れたように「おやつを食べる前は、手を洗ってね」とまるでお家にいる時と同じようです。

今日も「さあ、お部屋のお掃除をしましょうね」と笑顔でやってくるおばちゃんたちを待っています。お部屋をすっかりきれいにして、大きな窓を開けて空気の入れ換えをしてくれました。

気持ちよくなった部屋で、おばあちゃは「お邪魔しました…」と出ていく人達を呼びとめてちょっとの間お話をします。おばあちゃはこの時間も好きなようです。

 

 

 

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