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茅ヶ崎駅前クリニックにおける在宅医療

 

茅ヶ崎駅前クリニックは、茅ヶ崎徳洲会総合病院のサテライトとして、4年前に開設されました。居宅介護支援事業所兼任の在宅介護支援センター、外来診療部門、通所リハビリセンター、訪問看護ステーション、ヘルパーステーションが同一ビル内に設置されており、医療相談、ケアプランの作成、往診、訪問看護、訪問介護、リハビリテーション、外来診療と、高齢者医療を包括的に行っております。また、50名収容可能な会議室があり、そこで定期的に市民や患者さんを対象にして医療講演を行っております。ちょうどライフ・プランニング・センターのミニチュアといってよいでしょう。わがクリニックの最大テーマは、在宅の高齢の患者さんや末期癌の患者さんたちが、できるだけ高いQOL(生命の質)を維持して余生を送れるように全人的・患者中心の医療を行い、尊厳をもって笑顔で人生のフィナーレを迎えられるように、患者さんとその家族をサポートすることです。

医療講演では、各種疾患についての医学講演、尊厳死、インフォームド・コンセント、介護の心構えと方法、高齢社会での生き方、人生の価値、介護保険の仕組み、医療の現状など、高齢者あるいは病者が、よりよい余生を送るのに必要と思われることについての知識を深めていただいております。また、職員に対しては、毎日の朝礼で、病者やその家族の心が癒されるケアが徹底して行われるように、具体的な例を挙げて教育を行っております。

おかげさまで、クリニックの評判は上々で、毎月の延べ利用者数は、外来が1600名、通所リハビリおよび在宅介護が各1200名、訪問看護が550名に達しています。

すでに多くの患者さんが、在宅での死を迎えましたが、ほとんどの方が「私の人生は幸せでした。あまり悔いはありません。どうもありがとうございました」と言って、微笑みを浮かべてあの世へ旅立って行かれました。残されたご家族も、「死によって全てが終るのではない」ということを理解でき、十分に愛情がこもった介護ができたという満足感で、あまり悔いを残されません。ただし、病名を主治医から知らされないまま退院し、早期に亡くなった方の場合は、なかなか思い通りにはゆきません。やはり、人生最大のイベントである終焉を迎える準備としての医療者と患者およびその家族間のラポール(信頼関係)形成のためには、インフォームド・コンセントが絶対必要です。また、お互いに知り合ってから、ある程度の期間(最低2ヵ月)を必要とするようです。

在宅医療が不可能となって入院してしまった患者さんについても、在宅での主治医、介護や看護にかかわった訪問看護婦やヘルパーが病棟訪問をすることによって、最終的には、素晴らしい人生のフィナーレを迎えてもらうことが可能になります。私の考えに賛同し、病いに苦しむ人々とその介護に疲れているご家族に「微笑みで迎える人生のフィナーレ」を実現してくれる医療者が全国各地に多数現れることを心から願っております。

「花びらは、散っても残る、花心」

夏目鴎外

 

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往診風景、患者さん、訪問看護婦、クラークと私

 

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神奈川県茅ヶ崎市幸町21-30

茅ヶ崎駅前クリニック

Fax(0467)88-1766

 

 

 

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