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アメリカ・カナダツアー報告2]

ボランティア

 

ボランティアコーディネータの立場から

今回のツアーで、私たちが見学したボランティア活動の一部をご紹介いたします。米国の統計によりますと、10人の中9人は自宅で最期を迎えたいと希望しているそうです。カナダも同様で、ホスピスケアは在宅においても同様にとらえていました。在宅ケアでは、ホームドクターによって治療方針がたてられ、ホスピスケアチームのあらゆるスタッフが対応し、そしてまたボランティアが患者のニーズに応えて支援していました。

北米とカナダでのボランティア活動については、大きな差はないように思われました。

 

ボランティアの実践活動

ボランティア希望者は、それぞれのホスピスによって決められたトレーニングを受け、面接後、最低毎週1回4時間の活動を約束します。日本人の青年たちが留学のかたわらボランティア活動に従事して、よい働きをしておられました。シアトルのエバグリーンホスピス、ノースウェストホスピス、カナダのバンクーバーのセントポールホスピス、小児ホスピス、コテージホスピスは地域と一体化したホスピスケアを実施していました。

 

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日本人留学生とボランティアコーディネーター

 

いずれも15床ほどのベッド数ですが、110名の在宅ケアの患者を抱え、パートを含むスタッフ約90名とボランティア150名が活動しています。患者1人に約1人のスタッフ、ボランティアが1人の割合になります。シアトルのエバグリーンホスピスを例にあげますと、入院患者の方は在宅でケアを受けていた方が、ターミナルの時期に入院することもあります。ですから、ホームドクターもホスピスと密接に関わり、ボランティアはケアに直接関わります。たとえば食事介助、入浴、散歩、話し相手、要するにベッドサイドケア全般です。またさらに専門的なトレーニングを受けてビリーブメントケア、アロマセラピー、音楽療法にも関わります。

ボランティア活動は病院の中の緩和ケア病棟と独立型ホスピスでは違いを感じました。たとえばカナダのセントポール病院でのボランティアの説明によると、介護はエイドの仕事で、ボランティアはその職域を侵さないことに限られます。また車椅子などのサポートは事故につながるなどの制限があり、医療事故訴訟社会の現場を見るような思いがしました。しかし、独立型のホスピスにおいては、ボランティアはケアチームの一員として位置づけられていました。

 

ボランティア教育

第1コース 2日間、18時間でホスピスの理念、哲学、コミュニケーション、患者との接し方を学びます。

第2コース 専門的な学びです。私どもの教育方法には差異はないと思いました。

 

学生への啓蒙運動

ワシントン大学では、ホスピス講座がカリキュラムに取り入れられています。受講後、ボランティア活動をしている学生が多いそうです。

 

地域での活動

ホスピス内で活動できるボランティアの数は限られています。多くのボランティアは、地域に出て実践しています。在宅サービス、寄付活動、配食サービスなどの分野です。ボランティアをどのように活かし、生かされているかという姿勢に学ぶものを感じます。

 

まとめ

アメリカ、カナダのホスピスに入所しているがん患者の占める割合は30〜50%と意外に少なく、予後6カ月以内と分かった慢性疾患の方が多いようです。

 

 

 

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