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楽器を弾くときは演奏家としてではなく、患者さんがリラックスできるよう心を配りながら演奏するのがポイントだと話されました。

Laurie Rileyさんは音楽療法の教育に飛び回っています。「感激してもらうためでも、拍手してもらうためでもなく、コミュニケーションのとれない患者さんとも演奏を通してコミュニケーションをとれるようにするのが音楽療法の仕事です」と語る彼女のハープ演奏には心を奪われました。

音楽療法士 鈴木玲子

 

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プロビデンス病院のバーバラさん

 

独立型ホスピスにおける音楽療法

独立型ホスピスとしては、エバグリーンホスピスとコテージホスピスを見学しました。

 

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日野原先生が世界一美しいというエバグリーンホスピス

 

エバグリーンホスピスは、花と緑の中に小川が流れ、美しい環境に整備されていました。音楽療法士は、アリゾナで1年間勉強され、1年前からここで音楽療法をおこなっているボランティアでした。ここでの音楽療法は、死に対する恐怖を和らげ、痛みの緩和を助け、精神的サポートをすることでした。患者さんから音楽を引き出すというより、音楽を提供するというかたちでの音楽療法の実践でした。

コテージホスピスはすべて個室で、10ベッド、家庭的雰囲気のホスピスです。ここでの音楽療法は、1対1で行われていました。肉体的な痛み、不安、不眠を重視しながら、心理的な葛藤、心の痛みを緩和させ、リラックスさせるために音楽を使っていました。音楽をつくる(演奏)、イメージ、healing touch、マッサージ、呼吸法などを取り入れ、音楽を媒体として人生を振り返り、ひいては死を受け入れられるよう導いています。言葉でいえない人でも音楽の力で悲しい状態からふと変わることもあるといいます。“お互いに思いやりすぎて死を口にできない”家族が、音楽によってひとつになることもあるというお話が印象的でした。QOLを重視し、音楽を媒体としてそのお手伝いをするという点でも共感しました。

ピースハウスボランティア 山下いづみ

 

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コテージホスピスのリビングルーム

 

 

 

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