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アメリカ・カナダツアー報告1]

音楽療法

 

ホスピス・病院・老人施設・代替療法施設・音楽療法を見学して

 

このツアーには日野原先生をはじめ、医師、ナース、ボランティア、音楽療法士など総勢13名が参加しました。今回は、音楽療法とボランティアについて報告がありましたので、ご紹介いたします。

 

代替医療としての音楽療法

1988年モントリオール、シアトル、バンクーバーのツアーで、はじめて音楽療法という言葉にふれてから12年あまりたちます。その後も、各国の音楽療法に触れる機会がありました。ドイツのシュタイナー派による、この世から次の世への橋渡しとしての音楽療法や、演奏家が自分の演奏楽器を使って医療の場で演奏活動される音楽療法まで、非常に幅広いことを学んできました。対象者も健康な人のリラクゼーションから病人、老人、障害者そして末期の方へとその活用範囲も非常に広範です。

そして今回のツアーでは、代替医療としての音楽療法の位置づけがしっかりできていることを強く感じました。シアトルでは主に演奏楽器による演奏、カナダではリラクゼーションやコミュニケーションを目的に音楽を使っていました。心とからだに音楽というツールがどのようにアプローチできるかということを学ぶことができました。

特にホスピスケアの場では、音楽はその人の人生の価値、生きる意味の認識、今生きているということを受け止め、最期の時を音楽とともに迎えていくことでもあります。西洋医学だけでは対処しきれない問題に、東洋的なものや、アートの力によって人々の心をどのように豊かにするかが問われており、代替療法がブームになりつつあることを実感しました。日本でも代替医療の1つとして音楽療法が大きな位置をしめるよう努力していかなくてはと思いました。

音楽療法士 高須克子

 

2つの施設の音楽療法

ノースウェストホスピス

シアトル市で最も古いホスピスであるノースウェストホスピスでは、Karenさんがハープを用いて音楽療法を行っています。6年間のキャリアを持つ彼女は「患者さんが自分を意味のある存在としてとらえることができるために音楽療法はあるのです。イメージを思い浮かべられるような音楽を、ベッドサイドで15分ぐらい、月に一度はコンサート形式で提供しています」と話してから、妙なる音色でハープを奏でました。帰り道、柔らかな音楽で患者さんとコミュニケーションを交わしている彼女の姿を病室でみかけました。

 

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Karenさんのハープの音色に聴き入る見学者

 

プロビデンス病院

120年の歴史をもつこの病院では、3人の音楽療法士からお話をうかがいました。

Stella Bensonさんはハープ、笛(尺八ににている)、太鼓を使って話されました。音楽は患者さんの不安、怒り、不眠に効果があり、太鼓は患者さんの心臓の拍動とあわせるように叩くそうです。

Barbara Broderickさんはインターシップで80時間の経験を終えたばかりでした。ハープを使って院内の各所で音楽療法を試したそうです。

 

 

 

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