TOPICS2]
診療記録開示では答えはでない?
ピースハウスボランティア 鈴木千介
教育医療6月号の小文“診療記録開示では手遅れ?”に対してその後いろいろなご意見をいただきました。
前稿でのポイントをまとめておきますと、
1] カルテ開示の目的は、患者の「いまある状況」と、こうしてほしいという「望ましい状況」が正しく医療者に伝わっているかの確認
2] それがはっきりしてはじめて医療上の処置方針が立てられる
3] そのためには医療者には高いコミュニケーション能力と処置能力が要求される
4] 患者の「いまある状況」とこうしてほしいという「望ましい状況」をしっかり受けとめてくれない医療者にかかって、あとで“診療記録開示を要求”しても手遅れ
5] 一方患者としては、自分の症状と、こうしてほしいという希望をはっきり医療者に伝えるための努力が必要
といった内容でした。
これに対して寄せられたご意見には、たとえば、「昔は医学にロマンを持っていた人が勉強して医者になったのに、今はお金持ちで、家庭教師をつけて勉強のできる子が医者になることが多いから、心の通う医者を見つけるのは大変むずかしい」といった過激なご意見(論点もちょっと違う)から、「患者や家族のほうが問題、医師との貴重な時間をどう有効に使うか、短い時間に、客観的な自分の症状と、それをどうしてほしいかを的確に医師に伝えようなどということは全く考えていなくて、『えーと、はじめに痛いなと思ったのは先週の水曜日だったかしら、いや木曜日だったかな、雨が降ってたから水曜日ですよね先生…』といった人が多すぎる。こんな人のために医療者も患者も貴重な時間を無駄にしている」。また、「医者は強者で、患者は医者に生殺与奪の権を握られている弱者だから所詮何を言っても無駄よ」などさまざまでした。
お医者さんは、といってもいろいろな方がいらっしゃるでしょうが、どう考えておられるのだろう、機会があったら伺いたいなと思っていましたら、赤林朗先生の「医療の中の情報開示・患者参加型の医療の流れにあなたは何を望み行動しますか」というお話が10月18日にあることを知りました。このセミナーの中で医療情報の開示は、単なる開示のみならず患者と医療者の関係や医療行為の密室性の解除あるいは医療費の削減などさまざまな改善のきっかけになること、また従来の受け身の患者像にも変革が迫られること、情報開示のメリット、デメリットなどについて話される予定です。
赤林先生は先日京都大学の教授にご就任されましたが、私達のピースハウスの非常勤医師もしていただいています。
赤林先生の医師としての見解と、われわれ患者とその家族の質問や意見交流のよい機会になると考えます。ご関心のある方はふるってご参加ください。
医療の中の情報開示
患者参加型の医療の流れにあなたは何を望みますか
10月18日(水)14:00〜16:00
赤林朗 先生
京都大学大学院医学研究科教授
会場 LPC健康教育SC
地下鉄/有楽町線・半蔵門線・南北線―永田町下車(4番出口)
参加費 LPC会員 1,000円 非会員 1,500円
申し込み お電話にてお申し込みください。
電話(03)3265-1907